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やってみよう、の精神を大切に 創業100年の銭湯を再建!【Uターン経験者インタビュー】

今回ご紹介するのは、2024年の4月に、およそ100年の歴史を持つ実家の銭湯を復活させた泉乃湯四代目店主の小泉允彦(まさひこ)さん。東京や名古屋で美容師として活躍し、現在は三条市内で美容室の経営も行っている、Uターン経験者です。

銭湯店と美容室を運営する二刀流の小泉さん

復活を遂げた泉乃湯は、壁面のタイル絵やカラン、床のタイル地など、昭和の面影をそのまま現在に伝える、レトロ感あふれる銭湯に。その作業には世代を越えてボランティアが多数参加し、まさに三条に生きる人々がその手で創りあげました。
ここでは小泉さんのUターンの経緯や、復活の作業にまつわるお話などをお聞きしながら、三条市が持つ地域の魅力について、うかがいました!


まだ三条にない「おしゃれ」のために、Uターン

小泉さんの実家は創業1926年の銭湯、泉乃湯。
小泉さんは、お父さんの知り合いの工場に勤務していたときに友人に誘われて美容師の道へ入ります。時代はカリスマ美容師の全盛期。通信で学び、東京でも授業を受けていたことから、本格的に美容の道を目指すなら東京で経験を積まなければ、と全国展開を行う東京の美容室に入社します。数年間の東京勤務の後、大阪を経て、名古屋に異動した際には店舗のチーフに抜擢。上海店舗での海外勤務の打診も受けましたが、地元の三条に戻るかかなり悩んだ末、小泉さんは三条市へのUターンを決めます。2005年のことでした。

「まだ三条にないエクステの技術を身につけていたので、この技術で、地元の人たちをたくさん、おしゃれにしたいと思ったんです。時間があるときは帰省もしていましたし、三条市がけっこう好きなんです」と語る小泉さん。「ダメならやめてもいい、とりあえずやってみよう」と、泉乃湯の脇にある自宅ガレージをDIYでリフォームして美容室を始めました。

お店は多くの人々の支持を受けて軌道に乗り、その後2014年に市内の旭町に移転。空いたスペースは現在、美容ラボとして活用されています。そして、2023年11月に三代目のお父様が高齢になり、泉乃湯が休業するという転機が訪れます。

泉乃湯の再建と“じゃあ、一緒にやってみよう”

泉乃湯が休業する前から、地元のベンチャー企業から「運営する古民家ホテルのお客さんに、日本の銭湯として泉の湯を案内したい」という相談話がありました。
さらに銭湯にずっと親しんできた近所の人々からは「なくなってほしくない」という声があがり、小泉さん自身も生まれ育った場所を大切にしたい思いがあったため、四代目店主になって泉乃湯を再建することを決意します。

ベンチャー企業の社長などの助力を得て再建プロジェクトを立ち上げ、SNSで再建のための掃除や修繕のボランティアを募ると、30人以上の人々が集まりました。
「こんなに銭湯が好きで、興味がある人がいるんだと、びっくりしました(笑)。いろんな世代の人が集まって、話し合って、仲良くなって、人間関係ができていく様子は、忘れられないですね。感動しました」

プロジェクトに集まった地域の若者
再建に向けた清掃や修繕をするボランティアの人たち

このときに集まった人たちは、番台や釜場の管理など、現在も運営のボランティアとして参加しています。さらに定期的なミーティングも開催。再建後の泉乃湯では新たな取り組みとしてタオルやキーホルダーなどのグッズ販売も行っています。

店頭で販売しているグッズのキーホルダー
キーホルダーのモデルとなっている看板

「この銭湯は、僕だけの力では継続が難しいと考えているんです。地域の人々の協力があってこそ、存続できるように思います。それに、三条市には面白そうなことをしていると、なに、なに? と、みんな興味を持って集まってくる面があるのではないでしょうか。工場でものづくりをしている同級生も、一緒にやらない? と、いろいろ気軽に声をかけてくれたりするんです。これ面白そうだね、じゃあ一緒にやってみようか、という感覚は、三条市ならではのものかもしれませんね」

三条市のポテンシャルと充実の相談窓口

Uターン後の小泉さんは三条市で結婚し、家を建て、家庭を作りました。趣味の自転車では、山にも海にも出かけます。「三条市は生まれ育った場所だから、自分らしく、自然でいられる場所なんです」と語る小泉さん。

「三条市は食べ物もおいしいし、人が集まりやすい環境でもあります。歴史や伝統もあり、古民家を利用したホテルのように、それを新しいことと結び付けて、前向きなエネルギーに変えることもできます。大学ができて若い人もたくさん美容室に来てくれますし、マルシェをはじめ暮らしを楽しむイベントもたくさんあって、過ごしやすいまちだと思います」

「それに三条市は移住支援が充実しており、相談窓口が豊富に用意されているので、IターンやUターンをするときにも便利ではないでしょうか。気になる方にはどんどん相談してほしいですね」
三条市では「三条移住コンシェルジュ」の設置をはじめ「移住体験」のプランも用意しているほか、移住・定住を支援する各種補助金も用意しています。
 
ものづくりのまち三条におけるDIYの精神は、ものだけでなく「居場所」や「人間関係」にも通じるものがあります。「ちょっと誘われたから」「とりあえずやってみようと思ったから」と始めたことが、多くの人とつながって、とても素敵な出来事になる可能性がある地域なのです。

小泉さんは、最後に笑顔でメッセージを寄せてくださいました。

「みなさん、気軽にお風呂に入りに来てくださいね!」


みんなで作りあげた泉乃湯の湯加減を、ぜひ体感してください。
 

「みなさん、気軽にお風呂に入りに来てくださいね!」と話す小泉さん

泉乃湯
住所 三条市 林町 1丁目6-18
電話 0256-33-1127
開店曜日 水曜日、金曜日、日曜日 (日曜日は不定になることがあります)
開店時間 17:00〜20:30


最後までお読みいただきありがとうございました! 少しでも三条市での暮らしに興味をお持ちいただけたなら、いつでもお気軽にご連絡ください😊