見出し画像

「田舎暮らしは毎日が実験!」スローな時間を愛しむ夫婦の三条・下田暮らし【移住者インタビュー】

山々に囲まれた自然豊かな三条市下田地域の南中(みなみなか)。人口約150人のこの小さな集落に2024年4月に移住してきたのが、清水克耶さんと優希さん夫婦です。

「畑付きの一軒家」のマイホームにこだわり、県内自治体の空き家バンクを探す中で出会ったのが下田地域の“昭和を感じる一軒家”。三条市が手がける「移住促進住宅プロジェクト」によりリノベーションしたこの家は、古さと新しさが共存する趣のある空間で、夫婦は一目見て気に入ったといいます。

移住して約3カ月が経ったいま、お二人はどのような暮らしをしているのでしょうか? 三条市在住のライターが訪ねてみました。

実際に住んでみてどうだった? 移住者の本音は……

白の外壁と瓦屋根の家。山々や田んぼの風景を一望できるウッドデッキも設置してあります。

三条市の中心市街地から車で約20分。美しい田園風景が広がるのどかな集落にあるこちらの一軒家が、清水さん夫婦のお宅です。築50年の家屋をリノベーションした建物は、昭和レトロな懐かしい雰囲気が漂っています。

小さな生態系であるビオトープ。
鉢の中にメダカやタニシ、水草などを配置しています。

庭の樹木のほとんどが元からあったものですが、丸石や苔を敷き詰めた小道、メダカが泳ぐビオトープ※は移住して間もなく克耶さんが手がけたそうです。

※ビオトープ
ドイツで生まれた概念で、生命(bio)と場所(topos)を合わせた造語。動物や植物が安定して生活できる空間。

清水さん夫婦が家の中で特に気に入っているスペースが、広い玄関。

「どうぞ、お入りください」と案内された玄関は開放感たっぷり。広々とした廊下の先にあるパイプ手すり付きの階段がどこか懐かしい雰囲気です。

18畳のリビング。
仏間は本棚として利用しています。

柱が印象的な真壁造りのリビングは、まるで和モダンカフェのよう。モノが少なくスッキリとしており、グリーンのラグや小さな丸テーブルがしっくり馴染んでいます。

「この家を初めて見学した時、『ここに住みたい!』とすぐに二人の意見が合いました」と清水さん夫婦。見学した当時はまだ改装途中でしたが、古民家ならではのしっかりとした造りや木の存在感に惚れ込んだそうです。そして、実際にこの家に住んで約3カ月が経ったいま、ほっと落ち着く空間で暮らせることに日々幸せを感じながら過ごしているといいます。

「縁側の窓からは、粟ヶ岳から昇る朝日を眺められます。一面緑の田園が太陽の光に包まれる景色から毎朝パワーをもらっています」(優希さん)

理想のライフスタイルや価値観が似ている清水さん夫婦。
自然体で笑顔が絶えません。

「実際に暮らしてみて、不便に感じることはありませんか?」と尋ねてみると、「お気に入りのスーパーが片道20分の場所にあるので、買い物に時間がかかることですね」と優希さん。しかし、小さな不便がありながらも、理想の自然に囲まれた田舎暮らしは充実しており、「移住して良かった」と頬をほころばせます。

自然農法の畑作りにも挑戦!手仕事を楽しむ日々

「ぜひ我が家の畑も見てください」とお二人に案内され、家の裏手へ。こちらは大家さんが無償で貸してくれた畑で、手前半分が大家さん、奥半分は清水さんが管理しているそう。畑の手入れをメインで担当するのは優希さんで、ネギ、ジャガイモ、枝豆、インゲン豆など、様々な野菜が栽培されています。

苗のほとんどは大家さんや近所の方から分けてもらったそう。
近くの山にも畑を借りています。

「無農薬の自然農法に挑戦しています。私自身は野菜作りの経験がほぼありませんので、大家さんや近所の農家さんに教えてもらえるのがありがたいです。実験感覚で育てているんですよ」(優希さん)

化学肥料や農薬に頼らない自然農法は、土作りや病害虫対策などが難しく、「思うようには育ちません」と優希さんは苦笑い。土の表面を刈り取った草で覆うグランドカバーを施すほか、コーヒーかすや卵の殻、乾燥した鶏の骨など、日々の食事で発生するごみを肥料として活用しているというから驚きです。

「私たち夫婦は、簡単にはモノが捨てられないんですよ」と克耶さん。日々の暮らしの中で資源を再活用できないか常に考えており、工夫を凝らすのが楽しいそうです。

克耶さん手作りのコンポスト(生ごみ等から堆肥を作る容器)。
「菌が育つまでにはあと数カ月間はかかりそうです」とのこと。

自然農法の野菜作りに加えて、卵を産むニワトリ飼育にもチャレンジしてみたいという野望もあるのだとか。「いつか半自給自足生活をしてみたいです」と夢を語ります。

その他にも、庭の木々を剪定して新たに植樹したり、建物のDIYをしたりなど、やりたいことはまだまだあるそう。清水さん夫婦にとって、自然に囲まれた家や庭や畑は、まるで実験をくり返すラボのよう。自分たちの手で工夫しながら日々の生活を豊かにしていくことにおもしろさを感じているようです。

いざという時に助け合える、地域住民との「ちょうどいい距離感」

そんな清水さん夫婦を人一倍気にかけているのが、大家の長谷川耕造さんです。所有する畑を無償で貸し出すほか、野菜や山菜をおすそ分けしたり、自宅に招いたりなど、夫婦がこの地に早く馴染めるようにと配慮しながらの関わりをしています。

清水さん夫婦の自宅から徒歩30秒ほどの場所に住む、大家の長谷川さん。

「若い人が少ない集落だから、清水さんご夫婦が来てくれて嬉しいですよ。私だけでなく、近所の人みんなが気にかけているし、仲良くしていきたいと思っているんです」と語る長谷川さん。まるで親戚や身内のように、温かく二人を見守っています。

小さな集落である南中では、住民たちが協力する機会が多々あります。たとえば毎年恒例の地域行事として、側溝の掃除、お祭りの準備や実施、蕎麦打ちを実施。移住早々、行事に参加することになった清水さん夫婦は、地域に住む人たちとコミュニケーションを取ることで「すぐに顔なじみになることができて良かった」と話します。

長谷川さんが見せてくれた地域の祭りの一コマの写真。
住民が特別な衣装を来て神楽を舞います。

「田舎は人と人の距離が近い」とよくいわれますが、清水さん夫婦は「干渉されるわけでもなく、近所の人が気にかけてくれるこの距離感がちょうど良いです」とストレス皆無の様子。いざなにかあった時に、助け合える人たちがいることを心強く感じています。

お酒好きな長谷川さん。
同じくお酒が好きだという克耶さんに「ぜひ飲もう!」と嬉しそうです。

将来、子どもができたら一緒に山を散歩するなど自然遊びを満喫したいと夢が膨らみます。集落の人たちに温かく見守られながら、今日も二人は下田暮らしを満喫しています。

(取材・文・撮影=渡辺まりこ)
HP:https://www.watanabemariko.com/
X:https://x.com/watamari66
Instagram:https://www.instagram.com/mariko_writer66

▼三条市についてもっと知りたい方はこちらをご覧ください


この記事が参加している募集

最後までお読みいただきありがとうございました! 少しでも三条市での暮らしに興味をお持ちいただけたなら、いつでもお気軽にご連絡ください😊