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過去から現在、そして未来へと受け継ぐ日本剃刀

こんにちは。三条市に古くから伝わる伝統的鍛冶技術を未来へと受継いでいくため、当市が誇る鍛冶製品の一つである日本剃刀の製造技術を学んでいる稲垣 良博(いながき よしひろ)です。

1.三条市での活動内容

 三条市では「鍛冶技術継承事業」として、越後三条鍛冶集団(以下「鍛冶集団」)から雇用される形で、鍛冶集団に所属する水落 良市(みずおち りょういち)さんから伝統的鍛冶技術の継承ということで日本剃刀の製造技術を学んでいます。当市の鍛冶製品を製造する際の特徴として、材料を適切な長さに切断するところから仕上げの研ぎまでの多くの工程を一貫して行っていることもあり、全ての工程を身に付けるには工程を繰り返し丁寧に覚えていく必要があります。隊員の活動としては、徐々に精度を上げながら一つ一つの工程を繰り返し、伝統的鍛冶技術を身に付け、将来的には後世にこの技術を伝えることを目的に活動しています。

【技術を学んでいる三条製作所にて】

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2.三条市のものづくり

 三条市におけるものづくりの歴史は古く、江戸時代の和釘づくりが転機となっております。信濃川とその支流との合流点に位置する当市は頻発する洪水に見舞われ周辺に暮らす農民は貧しい暮らしを余儀なくされていました。そこで、代官所から副業として和釘づくりが推奨され農民の間に技術が根付いたとされます。その後、新田開発が進むにつれ和釘づくりから開墾用農具の製造へ技術が発展し、さらに、大工道具や包丁などの刃物鍛冶へと発展していきました。
 2009年4月に経済産業大臣から伝統的工芸品(越後三条打刃物)の指定を受けたその技術は、高度な自由鍛造技術を駆使することに特徴があり和釘、包丁、鉋など10品目があります。

【三条市のものづくりの起源と言われている和釘】

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3.日本剃刀とは?

 日本剃刀は武士の月代(さかやき)を剃り上げる刃物でしたが、明治時代になると理髪店で髭剃りに用いられるようになります。当市では戦後、刃物製造の技術向上に尽力した岩崎航介(いわさき こうすけ)さんが三条製作所を立ち上げ、そこで日本剃刀の製造を始めます。三条製作所では棒状の鉄を地金にし、刃になる部分に鋼をつける伝統的な鍛冶技術で、職人が一丁一丁手作業で製造します。砥石でミクロン単位まで仕上げる日本剃刀は、触れただけで髪の毛が切れるほどの切れ味を誇ります。
 製造する日本剃刀には、世界一の刃物である日本刀の素材として使用される「玉鋼」を材料としている製品もあります。玉鋼とは、日本古来の製鉄方法であるたたら製鉄により製錬されたもので、世界で最も純粋な素材と言われています。玉鋼を材料とした日本剃刀は、肌へのあたりが優しいという理由から、現在でも多くの理容師さんから使用されております。現在、日本剃刀を専業で製造する職人は日本国内で水落さんのみとなりましたが、今もその切れ味を求め、全国各地、世界から問い合わせが次々と届きます。

【三条市内の床屋さんで使用されている日本剃刀】

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【玉鋼を使用した日本剃刀】

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日々考え試行錯誤し、うまくいったりいかなかったりを繰り返しながら経験を積んでより良い製品を製造できるように日々鍛錬していきたいと思います。


【鉄と鋼をくっつける鍛接という作業】

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三条製作所
Instagram アカウント
 https://www.instagram.com/sanjo_razor/



【三条市地域おこし協力隊活動ファイル#4】

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