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悔しさと技術の積み重ねで生まれたネイルニッパー。長い年月を経て見つけた、ものづくりの真髄|株式会社マルト長谷川工作所
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悔しさと技術の積み重ねで生まれたネイルニッパー。長い年月を経て見つけた、ものづくりの真髄|株式会社マルト長谷川工作所

こんにちは。三条市ふるさと納税担当です。
当記事では、ふるさと納税の返礼品を提供いただいている市内企業を紹介します。

ものづくりのまち・燕三条。ここに世界的なネイリストから評価されるネイルニッパーがある。
 
製造しているのは、三条市にある株式会社マルト長谷川工作所(以下、マルト)。作業工具を製造している会社で、自社ブランドの「KEIBA」は世界20カ国以上で使用されている。
鋭い切れ味が特徴で誰でも扱いやすく、アマチュアからもプロからも愛されるシリーズだ。これだけの品質をつくる技術力とブランド力の高さはどこから来ているのか。その背景に迫るべく、4代目社長の長谷川直哉さんを訪ねた。

爪切りの常識を変えるネイルニッパー「MARUTO」

強い力がなくても、スッと切れてしまうネイルニッパー「MARUTO」。ネイリストだけでなく、医療や介護に携わる人からも使いやすさを支持されている。
 
爪切りというと、一般的には板型のものを想像するが、「MARUTO」はニッパー型。ニッパー型の爪切りは刃が薄いため、爪の細胞を壊さずにきれいに切ることが可能となる。薄い刃によって挟んで切りやすくなり、滑らかな断面を作り出せるのだ。
そして、「MARUTO」の爪切りはニッパー型の中でも特に刃が薄いため、この滑らかな断面が作り出しやすい。

技術の高さを維持しながら、効率化にも着手

ネイルニッパーの鋭い切れ味を現実のものとしているのが、マルトの高い技術力。他のニッパーも同様、最も重要な刃付けの工程では、刃が正しい位置にあるか、きれいに切れる状態であるか、何度も微調整を繰り返す。工場見学では、機械で刃付けをしたものと、その後人の手で調整したもので試し切りをし、違いを体感することができる。

さらにマルトは、一本の鉄材・ステンレス材から左右の持ち手を作る。通常、ニッパーなどの合わせ物を作るときは効率の観点から、左なら左だけ、右なら右だけで加工し、その後2本を合わせて商品とする。しかし、マルトは高い耐久性を維持するため、同じ材料でひとつの商品を作る。それは、別の鉄材だと鉄成分のバラつきや加工時の気温の変化によって差異が生じてしまうから。結果的に何年か経った後、不具合が出やすくなってしまうのだ。

また、質を高めると同時に効率化にも力を入れる。さまざまな工夫をしているが、なかでも特徴的なのが、『セル工程』だ。一人で複数作業を担当するもので、取り入れている企業は多くない。
 
「ここは、ベンチやニッパーの形になるように成形する工程です。『セル工程』と呼ばれる生産体制で、職人一人が両手に刃を持ち、各部を削って形をつくっていきます。ひとつの成形が終わったら、次の機械へ。体を動かしながら、削る工程すべてを一人で担当しています」
 
話を聞きながらも、目の前では目を奪われるような速さで加工が進んでいく。あまりの速さと細かさで素人目には何をやっているのかわからないほどだ。マルトの技術と経験が詰まっているからこそできる芸当なのだ。

頭打ちにあったことを契機に販路を海外にシフト

高い技術力を培うことができたのは、看板商品の作業工具「KEIBA」があったからこそ。その背景を知るには創業まで遡る必要がある。
 
創業は、関東大震災の翌年の1924年。薄い板などを圧着する際に固定したり、接着剤をつけて接着させたりする締ハタ(しめはた)や小農機具、大工道具などの製造業者として仕事を請け負うようになった。
 
新しいものに目がなかった初代の長谷川藤三郎さんは、当時最先端だった金属を叩いて形を整える「スプリングハンマー」を県内で初めて導入。大阪府の視察に行ったときに初めてこの機械と出会い、かなりの高額商品にもかかわらず、一晩悩んだだけで購入を決めた。

敷地内には、当時のスプリングハンマーがある

先見の明を持つ初代から引き継いだ2代目藤三郎さん。製造していた作業工具の販路を拡大しようと関西での営業に力を入れた。しかし、当時の作業工具メーカーは関西企業の力が強く、顧客となる大手企業をほとんど抱え込んでいた。新潟から遥々営業に行っても「今さら来ても遅いよ。そんなにやりたいなら輸出でもやったらどうですか」と半ば投げやりに言われることもあった。

ちょうど同じ頃、アメリカではホームセンター需要が高まっていた。その波に乗り、マルトはホームセンターのプライベートブランドとしてOEMを請け負うことに。プラスチック用のニッパーが人気となり、一気に販路を広げることになった。その結果、マルトのOEM商品は北米トップシェアを誇った。
 
「従来の鉄用のニッパーに比べて、プラスチック用ニッパーは刃先が薄い。その利便性が支持されるようになり、アメリカで使われているニッパーの7割くらいが薄刃のニッパーへと変わっていきました。その後、競合だった会社が80年代に倒産したことを受け、この市場はうちの独壇場になったんです」
 
プラスチック用ニッパーの需要に高い技術力で応えたマルト。刃先が薄くても、鋭く切れるニッパーを生み出せたからこそ、鋭い切れ味と滑らかな断面が特徴のネイルニッパー「MARUTO」を生み出せたのだ。

これまでのマルトを詰め込んだ「MARUTO」を立ち上げ

今でこそ世界中で愛される「MARUTO」だが、始まりは日本の大手化粧品メーカーからの「爪切りをつくってくれないか」という小さな一言だった。
 
「日本ではまだ板式の爪切りが主流でしたが、ヨーロッパではニッパー型の爪切りが主流。そんなときにプラスチック用のニッパーが好評のマルトさんにネイル用のニッパーを作ってほしいと相談してみようとなったみたいです」
 
すると、予想以上に需要は高く、飛ぶように売れた。
 
今まで考えてもいなかったニッパー型の爪切りにこれだけの需要がある。
景気が悪くても爪は伸びるし、女性はモノを買う。爪切りの可能性に気づいたのだ。

そこで、OEMではなく、自社製品として爪切りシリーズを開発。鋭い切れ味でありながらも、滑らかな断面を作り出す「MARUTO」が出来上がったのだ。開発時から機能面はもちろん、デザインにもこだわった。最初からブランディングを意識していたこともあり、ロゴは人差し指の爪にも、作業工具「KEIBA」と同じ馬の蹄(ひづめ)にも見えるように、色は新潟のトキにちなんだ色にと、マルトらしさを詰め込んだ。
 
そして、マルトは今までの「KEIBA」の技術、悔しさ、叶わなかった夢、すべてを「MARUTO」にぶつけたのだ。
 
ロンドン出張所を開設し、本格的に「MARUTO」の海外展開を開始。海外の展示会に積極的に出展し、自社出展で年間11回とかなり力を入れた。著名人にプレゼントとしてお渡ししたり、有名ネイリストの教育プログラムやネイルスクールでも「MARUTO」を使ってもらうように依頼したり。こうした地道な活動のおかげで、徐々に需要が広がっていった。

社員自身が会社を語る。愛が深い会社へ

直哉さんはものづくりと言語の関係性について話してくれた。
 
「 “パチン”と“プチン”この二つを聞いて、私たち日本人は何となく違う印象を受けますよね?実は海外の人には音の違いで印象が変わることをなかなか伝えられないのです。それは、季節や風土によって、特に寒いこの地域には様々なオノマトペが存在するからではないでしょうか。日本には紅葉ひとつとっても地形や土地の特色によってたくさんの言葉があるし、量を表現する方言も“ふっとつ(※1)”、“よっぽ(※2)”、“いっぺこと(※3)”とたくさんの種類がある。世界を見ても寒い地域は、言語中枢が発達して、結果として器用になるのではないでしょうか。そんな風に新潟という場所を捉えてみると、ポテンシャルがあると思います」
 
※1「ふっとつ」は”量が多い”、”たくさん”と言う意味で、新潟県下越地方の一部で使われる方言。
※2「よっぽ」は「よっぽど」「よほど」が変化した言葉で、新潟県下越地方の一部で使われる方言。
※3「いっぺこと」は”たくさん”、”多くのこと”と言う意味で、新潟県全般で使われる方言。

寒い燕三条だからこそできた、質の高いものづくり。言語化は職人同士で会話をする上でも重要な要素だ。さらに直哉さんは海外でブランディングに力を入れていくうちに、本来あるべきブランディングとは「社員がストーリーを語れること」だと気づいたそうです。
 
「ヨーロッパの一流企業に行くと、20代くらいの若手社員が創業者のストーリーを語り出すんですよ。本来のブランディングは手法ではなく、語りたくなるストーリー。社員がしっかりと語れて、お客様に伝わることが何よりも大切ですよね」

言語化を繰り返しながら、商品の質を高めてきた職人たち。だからこそ、「MARUTO」も「KEIBA」も世界中で使用される商品になったのだ。これからも質の高い商品を作り続けていくため、社員自身が語れる会社を持続させていくため、マルトは言語化と向き合い続けていくのだろう。

株式会社 マルト長谷川工作所 
〒955-0831 新潟県三条市土場16-1
TEL:0256-33-3010
FAX:0256-34-7720

(編集・写真:株式会社ブライトログ)


マルト長谷川工作所のネイルニッパーとヤスリのセットも三条市のふるさと納税に採用されています。下記のふるさと納税ポータルサイトより三条市への寄付をお申込みいただけます。

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田舎でも都会でもなく”ちょうどいい”かんじの新潟県三条市。金属加工技術に長けたものづくりのまちで、大型スーパーや娯楽施設等がそろう市街地から車を30分走らせると、気軽に海にも山にも行けます。新潟県のまんなかに位置する人口約9万5千人の地方都市からマチ・ヒト・コトをお届けします。