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#04 都会の仕事をそのままに、移住する「”新潟都民”構想」

前回は、都会の感覚を持っているからこそできる地方での仕事がある、というお話をお伺いしました。今回は、「都会の仕事を続けたままでも移住できる」という美里さんが実現したキャリアの選択肢についてお伺いします。


ー移住を検討している方の中には、都会でやっている今の仕事を辞めることが不安、という人も多いと思うのですが、美里さんはそのあたりはどんな風に考えていたのでしょうか?

都会の仕事をゼロにするのって怖いと思うんですよ。でも、「都会の仕事を10分の2とか3とか残したままでも移住できるよ!」っていうことを伝えたくて。

っていうのも、わたしが就職活動をしていた15年くらい前に、「”新潟都民”構想」っていうのがあって。東京で働いている人でも、湯沢に住んだら町が東京までの通勤費を負担する、という取り組みを新潟県湯沢町がやって、「湯沢に住みながら東京で働いている人」のことを当時「新潟都民」っていう言い方をしていたんです。

当時、周りの人たちに「わたしは絶対新潟都民になる!」って言っていたらしいんですよ。そのことは、わたしはすっかり忘れちゃってたんですけど。いずれ地域活性にまつわる仕事をしたいとはずっと思っていたので、地域に体を置きたいけれど仕事は東京だよなぁという感覚がその時からあったんだと思います。なので、社会人像としてのありたい姿としてそういう働き方を思い描いていました。

「東京に新幹線ですぐに出られる」っていう視点で移住地を検討していたので、結局新潟に移住しましたけど、検討の段階では候補地に軽井沢や仙台もありました。それも同じ発想で「地方に住むけど東京の仕事をする」っていうイメージで考えていました。

実際地方に来てみたらこっちでの仕事の方が楽しくて、それだけにしたい!くらいに思っちゃいますけどね(笑)

ー美里さんは起業して主に新潟を拠点としたお仕事をされていると思うんですが、今も2,3割は東京のお仕事をされているんですか?

そうですね。

でも、都会の仕事を残しておきたいって思うのって、ほとんどの場合、精神衛生的な理由だと思うんですよ。収入的にその仕事がないと無理かって言ったらそんなことない場合もあると思いますし、地方で仕事が見つかれば業務委託などで都会の仕事を続けるよりいいってことも多いと思うんです。でも、都会の仕事を残すことで安心して移住できるなら、都会の仕事を残すのもいいと思うんですよね。

東京出張の際、元上司とのランチ

でも私は減らしてもゼロにはしないようにしようと思っていて。っていうのも、ゼロにすると東京の視点を失っちゃう気がするんです。東京で今何が起きているのかを、常に知っておきたいんですよね。じゃないと、今までの地方と都会のような乖離が生まれたり、地方ならではの価値を「価値」だと気付けなくなってしまいそうで。

今、*Vtuber(ブイチューバー)のタレント事務所があるって知ってました?(笑)この前東京の会社の人に燕三条を案内していたんですけど、その時に「それだったらVtuberに食べさせた方がいいですよ」って言われて、Vtuberに食べさせるってどういうこと!?と思って(笑)生きている人間と同じくらいのタレント費がかかるってどういうこと?と思いつつ、その感覚ってどっぷり地域にハマっちゃったら忘れちゃうなと思って。そういう時代の流れや変化を肌で感じて情報をキャッチできるのが東京だと思うので、やはり東京に触れ続けることって、大切だなぁと思っています。

*バーチャルYouTuberの略称。本人の映像ではなく、2Dや3Dのアバターを作成・使用した動画配信者をいう。

ーなるほど、それはわたしも新潟に住んでいてすごく感じますね。ちなみに、就活時に想像していた「”新潟都民”構想」は、新潟に住みながら東京に通勤するという意味合いだったと思うのですが、今東京に行くことも頻繁にあるんですか?

東京に行くのは月イチで、それ以外はリモートですね。

リモートワークの様子

コロナ禍もあって、地方移住の視点で見たら怪我の功名でリモートワークもやりやすい環境になって、むしろ東京の仕事をしながら地方居住っていうのはやりやすくなったと思うんですよね。もしかしたらわたし自身コロナ禍後だったから移住しやすかったのかもしれません。だから、軽井沢や仙台など他の地域だったとしても「〜都民構想」は時代としてはかなりやりやすい。

だからこそ、都会の仕事をゼロにする必要はない!っていうことを移住を検討している方に伝えたいです。


今までのコミュニティにも所属し続けて、都会だからできる仕事も持ちつつ、前回のお話しのような「地方だからこそ、都会での経験も生かして取り組むことができる仕事」も持つ。そして、定期的に都会の情報にアクセスする時間もつくり、それをまた地方での仕事に生かしていく。

今回はそんな、バランスをとりながらいろんな経験が常に生かされていくような働き方をされている美里さんのお話をお伺いしました。

もしかしたら逆に、東京にいながら地方の仕事をすることもできるかもしれませんし、ネットの発展によって「住んでいる場所の仕事しかできない」「住んでいる場所のコミュニティにしか所属できない」ということも、もうないのだと思います。

そんな時代の変化に合わせて、自分なりの「住む場所と働き方のかけ合わせ」を模索していけると、納得して移住という選択肢を選んでいけるのだなぁと感じました。

次回は、壁にぶち当たることが多いであろう「夫婦での移住についての話し合い」にまつわるお話をお伺いします。お楽しみに。

(インタビュー・文:内藤千裕

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