三条市で、外国人材受入促進セミナーを開催しました
11月20日(水)に「外国人材受入促進セミナー ~今知っておきたい外国人材採用最前線〜」が三条商工会議所で開催され、地元企業や関連団体から30名の方が参加しました。
三条市で、人手不足に悩む企業や、外国人材の方の受け入れを検討している企業のみなさまもいらっしゃると思います。
今回は、そんなみなさまの参考になるよう、セミナーの様子と概要をお届けします。
外国人材の方の採用に向けて
第1部はセミナーということで、森興産株式会社代表取締役の森隼人氏にご登壇いただき、外国人材の採用フローや準備作業、労務管理ポイントなどについてお話いただきました。
まずは、外国人材の方向けの会社案内やマニュアルについて、ご説明いただきました。
漢字ばかりのマニュアルだと、中国や台湾出身の方であれば比較的意味を捉えられるものの、東南アジア出身の方だとわからないことが多いと言います。ひらがなにしていれば読めるが、カタカナは読めないという方もいらっしゃるので、カタカナにもひらがなのルビを振ることも。さらに、「いろんな言語に翻訳するのもよいですが、絵や写真を使うのが効果的」とのこと。
このように、会社案内やマニュアル、作業指示を工夫していく必要があります。
そして、日本での外国人の方の在留資格は、120種類以上あります。森氏は、「大事なのはどういう人材がほしいかを明確にすること」だと言います。
外国人材の方が、会社に入って「どんな業務で働いてもらうのか」「どのポジションで働いてもらうのか」に該当するのが「在留資格」です。そこが明確でないと、どの在留資格で日本に来たらいいのかが明確にならないので、そこを決めておく必要があります。また、大学卒業資格があるのかどうかでも在留資格が変わるので、確認が必要です。(出入国在留管理庁HP 在留資格一覧表 はこちら)
例えば、外国人材の方の人数に応じて通訳・翻訳ができる人材も採用するなど、「技術・人文知識・国際業務」等の長期滞在の外国人材の方と、「技能実習生」等の短期滞在の外国人材の方を組み合わせて雇用し、組織化をすることも、事業の継続・発展のために視野に入れるとよいと森氏は説明しました。
また、引っ越しや住宅の準備、スマホの契約などもサポートする必要がある場合もあります。そして、宗教対応に関して抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、イスラム教徒の方の場合は礼拝やラマダン(イスラム教徒が断食を行う月)などがあります。しかし、礼拝は1日5回、就業時間中にする礼拝はおそらく2回で、1回の礼拝は5分程度であることが多いため、対応可能な企業が多いと思います。
このように、外国人材の方を採用するにあたって、企業文化や働き方の様々な部分を対応させなければならないかもしれません。しかし、一度変えれば、特に同じ国籍の方を採用する場合は、今後の外国人採用がしやすくなる、とも言えます。
外国人材の方が安心して働けるために
第2部は「外国人材に求められる職場環境と生活環境」をテーマに、トークセッションをしていただきました。株式会社帰山鍍金工業の技能実習生生活指導員である佐藤規行さんと、協同組合三条経営労務センターの長谷川エミリーさんにパネラーとして登壇いただきました。
帰山鍍金工業では、外国人材の方の受け入れをしており、現在も技能実習生を含め15名程度の外国人従業員の方がいらっしゃいます。そして、長谷川さんは三条経営労務センターで受入支援している外国人材の方全員と普段からコミュニケーションをとっており、彼らが日本に慣れ、安心して働けるための様々なサポートを行っています。
トークセッションの中では、言葉の問題以外の問題が発生する場合もある、というお話も。例えば、暑い国から来る方の場合は、気候に慣れず、日本に来て体調を崩してしまう場合も多いとのこと。病院で日本語以外が通じないこともあるため、その場合はエミリーさんや佐藤さんが付き添うこともあるそうです。
また、帰山鍍金工業では「実習生活を終えて、燕市で永住権を持ち10年近く日本に居住しているフィリピン出身の方がいる」と言います。佐藤さんは、その方に間に入ってもらい、翻訳や外国人材の方が日本の生活に慣れるためのサポートなどをしてもらっているそうです。
外国から日本に来る方は20代から30代の若い方で、海外経験や職業経験が少ない方が多いです。言葉が通じない中で慣れない仕事をしていくことになるので、「本人が慣れるまでは生活全般をサポートしてあげる気持ちで関わるようにしている」と佐藤さんはおっしゃっていました。
社内において、日本人の従業員も積極的に人と話すのが得意な人ばかりではないので、どうコミュニケーションをとっていいかわからず、コミュニケーション不足になってしまうことも……。しかし、「安全管理の面でもコミュニケーションは大事なので、従業員同士でのコミュニケーションは間に入って話す場を設けるなど、工夫をしている」と佐藤さんはおっしゃっていました。
今回のセミナーで登壇者のみなさんがおっしゃっていた外国人材の方を雇用するのには様々な工夫や準備が必要で簡単なことではありませんが、基本的なサポート体制は整っています。
外国人が働きやすい職場は、日本人にとっても働きやすい職場です。
そうした環境を整えていくことがこれからの企業には求められるのかもしれません。