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パートナーシップ&ファミリーシップ制度、始まります

同性同士の結婚が法律上では認められていない日本において、自治体レベルでパートナーとして公認する「パートナーシップ制度
2015年に東京都渋谷区と世田谷区がパートナーシップ制度導入第1号の自治体となってから約7年経過しました。
2022年7月1日時点で、全国で約1700ある自治体のうち223自治体が導入しており、その223自治体の人口カバー率は53.1%です(出典:渋谷区・認定NPO法人虹色ダイバーシティ 全国パートナーシップ制度共同調査)

新潟県では新潟市が2020年4月から導入しています。

このたび、私たち三条市は、新潟県内で2番目の自治体として、2022年9月1日よりパートナーシップ制度を導入することになりました。

また、パートナーシップ制度導入と同時に、こちらは新潟県内第1号となる「ファミリーシップ制度」も導入します。たとえば同性パートナーにお子さんがいる場合で、一緒に住んでいるときなど、戸籍上の親だけしかさまざまな手続ができないとなると不利益、不便を被ることがあります。

ファミリーシップ制度では、パートナーのみならず、パートナーの一定の家族関係(三条市の制度では、パートナーシップの関係にある2者のいずれかの三親等以内の親族で生計が同一であること)も自治体として証明することで、サポートを行います。

このファミリーシップ制度は、全国で30以上の自治体が導入しています。

1.パートナーシップ&ファミリーシップ制度とは?

法律上の結婚とは異なり、パートナーシップ制度は、相続や税金控除など、法律上の効果があるものではありません。
とはいえ、ひとりひとりの個性や多様な生き方を尊重し、性別にとらわれることなく、誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、法律上の制度が導入されていない現時点では必要な取り組みであると考えております。
三条市では、パートナーシップやファミリーシップの宣誓を行うことで、具体的に次のような行政サポートの対象となります。

  • お子さんの保育所の申込みや教育保育給付認定の申請を、もう一方のパートナーが保護者として申請できます。

  • 住民票の続柄を、パートナーは「縁故者」、ファミリーは「縁故者の〇〇」と表記できます。

  • 家族として市営住宅への入居の申込みができます。

  • 委任状なしで世帯員の住民票を取得できます。

  • 障がいのあるパートナー等のために使用する軽自動車について、軽自動車税の減免申請ができます。

三条市のパートナーシップ&ファミリーシップ制度の内容

また、三条市役所も、ひとつの会社(事業所)として、同性パートナーに対して異性パートナーと同様の福利厚生を開始することにしました。

三条市役所内部の取り組み

2.なぜパートナーシップ&ファミリーシップ制度?

(1)最初のきっかけは高校生のひとこと

きっかけは、こちらの記事にもありますとおり、三条高校2年生(当時)の生徒による市長への質問です。

(以下、市長の言葉を引用)
私が市長に就任した翌月の2020年12月、「主権者教育」という授業の一環として、母校である三条高校2年生に向けて講演を行いました。
講演の最後に自由な質疑応答があったのですが、そのときの1番目に手をあげて質問してくれた生徒の質問内容が「なぜ三条市には同性パートナーシップ制度が導入されていないんですか?」というものでした。
今だから白状しますが、この質問を受け、私は自分自身にショックを受けました。就任した直後で、全国的には年齢が若い方の市長であるという一応の(?)自負もありました。
ただ、この質問を受け、この課題に十分なアンテナを張ることができておらず、その一方で高校2年生の生徒がいの一番にこの問題意識を私にぶつけてくれて、私は「自分はなんておっさんなんだ・・・」と大変ショックを受けました。
2年前ですので、質問をしてくれた当時高校2年生の生徒は、今はおそらく大学1年生です。ひとつの質問がきっかけで三条市が前に進むことができました。ありがとうございました。


(2)佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さんが結婚できなかったら?

その後、三条市では、2021年12月に東小雪さんをお招きし、性的マイノリティフォーラムを開催しました。

その際、東さんからは「LGBTの方の人口割合は、日本の四大メジャー名字である佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さんを足した人数よりも多いのです」という大変わかりやすく、かつ、心に一瞬で残るお話をいただきました。

(以下、市長の言葉を引用)
私自身、これまでの人生で多くの「佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さん」にお会いしています。「佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さん」という名字の知り合いがひとりもいない方は、おそらく誰もいないかと思います。
「佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さん」全員が制度上結婚できない世の中だったとしたら、それはすごい世界です・・・。
法律上の制度ではありませんが、パートナーシップ制度を導入することで「佐藤さん・鈴木さん・田中さん・高橋さん」全員よりも多い性的マイノリティの方を少しでもサポートし、かつ、「応援していますよ」とメッセージを出すことは、現時点で自治体ができることとして必要な取り組みと考えています。

(3)2300通以上の署名

2022年7月、三条市を拠点に啓発活動を行っている団体「PRIDE LINK」さんのお二方が三条市長を訪問してくださり、三条市での同性パートナーシップ制度導入に賛同する方、約2300名の署名の提出を受けました。

署名活動を開始したのが今年6月からと伺っておりましたので、わずか1か月少しで2300名以上もの署名が集まったことになります。この署名提出が最後の後押しとなり、三条市として「よし、導入しよう」という話をしました。

(4)地方創生とは?

2022年7月1日時点で、全国で約1700ある自治体のうち223自治体が同性パートナーシップ制度を導入しています。つまり、自治体の数ベースで言いますと導入率は約15%です。

その一方で、導入している223自治体の人口カバー率は、日本全体の人口の53.1%です。

この2つの数字からわかるのは、いわゆる大都市が導入しているという事実です。実際、第1号となった渋谷区・世田谷区をはじめ、横浜市、さいたま市、千葉市、大阪市、京都市、広島市、福岡市などが既に導入しています。

「地方創生」という言葉が浸透して久しいです。三条市も、多くの自治体と同じく「若い人に三条市に住み続けてもらおう」だったり「都会に住んでいる人に三条市に移住してもらおう」だったりといった地方創生の取り組みに力を入れています。

(以下、市長の言葉を引用)
私は、一方の口で「三条市は移住政策がんばっています。大都市から若い人にも三条市に来てもらいたいと考えています」と言っておきながら、もう一方の口で、大都市の多くが既に導入をしており、かつ、若い方の問題意識が高い課題について「三条市は地方ですので、まだ検討が必要です」と言うのが嫌でした。地方であることを、田舎であることを理由に逃げ道を作っているようであれば、真の地方創生は達成できないと考えています。

3.これから&お願い

(1)講演会を行います

詳細発表はこれからですが、2022年10月に三条市内でイベント(講演会)を実施する予定です。みなさんご存知のあの方をお招きする予定(かなり有名な方です!)ですので、お楽しみに!

(2)ご協力のお願い

パートナーシップ&ファミリーシップ制度はあくまでも市(行政)の制度であり、民間の方や民間企業に対して何かを強制したり拘束したりするものではありません。

その一方で、異性間の夫婦や家族があたり前のように享受できている民間のサービス・取り扱いが同性パートナーやファミリーシップ宣誓ファミリーにも適用されると、より良いパートナーシップ&ファミリーシップ制度になります。

たとえば

  • アパートやマンションを借りる際に、異性間の夫婦と同じ取り扱いで入居審査を受けられる

  • 民間病院での患者家族からの同意取得や様々な告知などで、異性間の夫婦と同じ取り扱いになる

などなどが考えられます。

三条市ではまずはパートナーシップ&ファミリーシップ制度の1日でも早い導入に力を入れていましたので、私たちが民間の事業者さまに様々なお願いにうかがうのはこれからになります。三条市がさらに優しいまちになるように、ご協力どうぞよろしくお願い申し上げます。

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最後までお読みいただきありがとうございました! 少しでも三条市での暮らしに興味をお持ちいただけたなら、いつでもお気軽にご連絡ください😊