文化の日 芸術に触れてみよう「木版画ワークショップ」
こんにちは、三条市のまちなかエリアで活動する地域おこし協力隊の綾部あやです。
わたしは地域の皆さんに楽しんでいただけるよう日々イベントを企画しています。
今回は図書館等複合施設まちやまで行った「木版画ワークショップ」についてご紹介します。
さまざまな資料がある図書館には、版画の資料も数多くそろっています。
そこで、まちやまに版画特集を設置し、文化の日に「多色刷りの木版画ワークショップ」を実施しました。
今回ご協力いただいたのは長岡市出身の創作木版画作家・たかだみつみさんです。
イラストレーションやデザインを手掛ける傍ら、木版画の体験講座、展示の企画や運営、長岡造形大学の非常勤講師など多岐にわたりご活躍されています。
木版画はモノクロというイメージですが、たかださんの作品は多色刷りで優しい色合い。こんな版画もあるのだと驚きました。
版画は、①版下(デザイン)を描く、②版木を彫る、③絵柄をする、この3つの工程で制作します。
シンプルですが、江戸時代にはそれぞれの工程を分業した専門の職人が存在したほど奥が深い。
版木を彫る作業は彫刻刀を使用するため怪我に注意しなければなりませんが、すり作業であれば小さな子どもからお年寄りまで安全に楽しむことができます。
企画を作るにあたり、たかださんのアトリエに赴き多色刷り木版画を体験。まずは自分でその魅力を体感しました。
その後、今度は会場となるまちやまにたかださんにお越しいただき、来館者の様子や傾向などをお伝えしながら一緒に構想を練っていきました。
こうしてたかださんが大切にしていることをじっくり伺い、目的や土台をしっかり築いていきます。
特に印象に残っているのは、
「短時間で沢山の人をさばくようなワークショップではなく、版画のすばらしい技法などを丁寧にお話しして、版画の魅力をお伝えしたい」
というお話しでした。
またある時、参加者から
「親子ばかりの中に大人一人で参加してしまい、肩身が狭い思いをした。一人でも気軽に参加できるワークショップがあると嬉しい。」
とお聞きました。
このことから、今回は親子の部は手を動かす時間をたっぷり設けてわいわいと、逆に大人の部は専門的な話を織りまぜながらより深く版画を楽しむという点を大切に、双方に配慮できる内容となるよう工夫しました。
作る人の思いがこもったストーリーのある物や体験は、何倍もの価値を生み出します。
そんなことから、わたしは作家の大切にしていることや想いを聞くのが好きです。
このように作家と一緒にあれこれアイデアを出し合い、自分が参加者だったらどうかな?と思いを巡らせ、試行錯誤しながら毎回様々な企画を組み立てています。
どんなに魅力的な内容でも参加者が集まらなければ元も子もありません。地域の方に情報が届くように、わかりやすさや興味を持ってもらえる工夫をし、対象となりそうな方が参加しやすい曜日や時間を考慮します。
このことは日々、わたしの学びや経験となりました。
おかげで参加者に喜んでもらうのはもちろんのこと、一緒にイベントを行う作家が求めているものや、大切にしていることについても一緒に考える視点が持てるようになりました。
素晴らしい作品が作れるのは一握りの芸術家だけかもしれません。
ですが、創作活動はどんな人も楽しむことができます。
自己表現として、周囲の評価に惑わされず自分らしく創作すること。その過程を楽しめたのなら、それだけで価値のあることではないでしょうか。
そんな風に思えるワークショップを今後も考えていきたいと思います。
以上、版画ワークショップとイベントを通して感じたことをつづりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。