千葉県南房総市房総大井倉蒸留所見学レポート
こんにちは、三条市本町、中央商店街の書店SANJO PUBLISHING内にてカフェ/バーTROISを営んでいる地域おこし協力隊の藤立です。
今回は、以前見学にお邪魔した千葉県南房総市のラム蒸留所、房総大井倉蒸溜所の見学レポートをお届けします。
房総大井倉蒸留所
房総大井倉蒸留所は千葉県房総半島、ペナシュール房総株式会社が運営するラムの蒸溜所です。
ラム酒はサトウキビから作られる蒸留酒、日本では沖縄や鹿児島がサトウキビの生産地として知られ、近年ではラム作りも行われてきました。
そんな南国のイメージが強く関東のイメージが薄いサトウキビですが、沖合に流れる暖流「黒潮」の影響を受ける南房総沿岸部は温暖で年中霜が降りない無霜地帯であり、関東では最もサトウキビ栽培に適した土地となっています。
その南房総も、現在は高齢化などの影響を受け耕作放棄地が増えていたなかで、寿司割烹「ちどり」を経営されていたペナシュール房総代表の青木氏は耕作放棄地を活用されている地元の高齢者の方々とサトウキビ栽培を開始します。その後SNSなどを通じてラム製造の計画を発表すると、これに賛同したラム愛好家や酒造、Bar関係者が駆けつけ計画はどんどん加速していきます。さらに2021年に千葉県が主催するビジネスコンペティションにて最高賞を獲得すると、一気に事業化が進むこととなりました。
代表青木氏含め多くの方の尽力が実り、はれて2023年8月には正規品第一弾として「BOSO Rhum blanc Agricole Soleil -太陽-」が発売されました。
それ以降も「Farm to Bar(畑からバーへ)」を掲げ、サトウキビの生産から蒸留、ボトル詰めまで社内で一貫して行い、新たにリキュールブランドとして立ち上げた「黍とそ-KIBITOSO-」の商品も含めると現在は10アイテムほどのお酒がリリースされています。
見学レポート「地域に根差したものづくり」
そんな新進気鋭のラム蒸溜所にお邪魔して面白いお話をたくさん伺ってきたのですが、細かい技術的な点は当店にお越しいただいた際直接お話するとして、ここでは三条にも関係のある「地域に根差したものづくり」という観点で私の考えたことを綴って行きます。
先述の通り、ペナシュール房総は原料となるサトウキビの栽培からボトリングまで生産におけるほぼ全ての工程を社内で行っています。これは耕作放棄地を有効活用するという点で地域に良い影響を与えるだけでなく、そこで作られるラムをはじめとした商品に独特の魅力を生み出すことにも繋がります。ワイン作りにおいて、土地の環境がそこで作られるブドウ、ひいてはワインに影響を及ぼすという「テロワール」という概念がありますが、ペナシュール房総でもこのテロワールを重視したお酒作りが行われています。
自然農法で育ち土地の滋味をたっぷりと蓄えたサトウキビを自然酵母の力によって醸造、蒸留することでBOSO Rhum(房総ラム)にしか出せない味わいが生まれます。そのオリジナリティは決して単なる珍しい味に留まらず、多くのラム好きやバーテンダーに高く評価される非常にハイクオリティなものに昇華されているのです。
また、そうしたラム作りのなかで生まれる廃棄物を社内や地域で利用されているのも印象的です。サトウキビの搾りかす「バガス」をサトウキビ生産時に肥料として利用したり、地元の酪農事業者へ飼料として提供するなど地域で生まれた廃棄物を地域で利用し循環させる取り組みに力を入れているとのことでした。
こうした生産や生産前後の取り組みを伺って一番感銘を受けた点は、強いこだわりを持ちつつも、独りよがりにならず消費者や地元のことを深く考えられた上で企画・実現されていることでした。自分の作りたいものをだけ作るのでも、消費者に求められるものだけを目指し地元を蔑ろにするのでもなく、地元にだけ注目し消費者に届き辛いものを作るのでもない。ラムと地元を愛し、消費者にその想いが届くものづくりをされている青木氏や他のスタッフの方の姿は私にはとても頼もしく、眩しく見えました。
私は日々の営業でのお客様との会話のなかでよくこんなお声を聞くことがあります。
確かに私も移住することで初めて知った新潟・三条の素晴らしい農産物や特産品は数多くあります。燕三条地域では工場の祭典など、「ものづくりのまち」としての魅力を積極的に発信されていますが、それ以外にも魅力はたくさんあることを移住した私自身が強く感じています。
房総ラムの誕生が、私が千葉県でサトウキビが栽培されていることや南房総の産業を知るきっかけとなったように、県外の方に知られていない様々なものを知っていただくきっかけ作りとして私には何ができるか、地域創生の観点でも深く考えさせられる訪問でした。
Rhum de la Péninsule de BOSO 当店での取り扱い商品
そんな素敵な房総半島産のラムを当店でもお召し上がりいただけます。なかでも私のイチオシは「BOSO Rhum blanc Agricole Soleil -太陽-」です。
正規商品第一号としてリリースされた昨年の商品に引き続き今年も発売されたアグリコールラムという珍しいタイプのラムです。
多くのラムはサトウキビを搾汁後、加工した液体を醸造・蒸留するのですが、こちらはサトウキビジュースをそのまま醸造・蒸留された房総のテロワールを存分に感じられる1本です。県内でも置いてあるお店は非常に少ないと思います。ぜひ当店でお召し上がりください。
ご高覧いただきありがとうございました。
房総大井倉蒸留所については以下のURLからご確認いただけます。
https://rhumboso.com/
TROIS(SANJO PUBLISHING喫茶部門)の基本情報
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