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自分の人生に何が必要か。ぶれない気持ちで、惹かれた土地へ移住をしました。【移住者インタビュー】
阿部果苗さんは北海道の出身。東京で生活したあと、三条市に移住しました。現在は古い歴史を持つ三条市のメーカーで新人として研修を行っています。阿部さんが地元に戻らず、地方都市への移住を決めたのは、とにかく新潟に惹かれ、好きだという気持ちがぶれなかったから。
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今回は、移住して約2カ月が経過した阿部さんに、移住にいたる流れをはじめ、移住コンシェルジュを利用した感想、そこに住む魅力など、様々なお話をうかがいました。三条市はもちろん、地方への移住を考えている方の参考になれば幸いです。
始まりは、人生で何が必要か理解することから
阿部さんは美容師として北海道から東京へ就職。その後、営業事務に転職し、8年ほど東京で過ごしました。30代が近づいてきたときに感じたのは、東京での永住はないだろうという感覚でした。
「最先端でバリバリ働くというのであれば東京で暮らしつづける選択もできますが、広い家に住んでみたいとか、プライベートの時間を充実させたい、と考えたとき、私には東京にいるメリットがあまりないように感じたんです。人生で、自分に何が必要か理解することが移住の第一歩だったと思います。ただ、惹かれたものについてゆく度胸は必要だと思いました」
東京からの移住先として、阿部さんのふるさと、北海道に戻るという考えもありましたが、故郷にはいつでも帰れるし、それまでは好きな場所に住んでみたいという思いがありました。そんなとき、阿部さんの知り合いの美容師のご夫婦が、魚沼に新たな店舗を開いたのです。
阿部さんは二人のもとを訪れ、新潟県を観光しました。そこで感じたのが山の綺麗さ、空気の美味しさ、ごはんの美味しさ、自然と都会が隣り合いながら交通アクセスにも恵まれ、都会すぎず田舎過ぎない“ちょうどよさ”でした。自然と隣り合わせなのに人口が多く、コミュニティーも狭くない“いいとこどり”の地域という印象を持ちます。
その後、阿部さんは何度も新潟に観光に訪れるようになります。下田に泊まって豊かな自然のもとで川下りを楽しんだり、美味しいごはんを楽しんだりするのはもちろん、ヤギ牧場のご夫婦とのふれあいや、送迎もしてくれたレンタカー会社の人、温泉でのぼせてないか心配してくれた地元の人など、いろいろな人に会い、やさしさを実感していきます。
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「旅行のたびに親切な人、やさしい人に出会うんです。そういう瞬間を重ねているうちに新潟県が好きになり、移住を考えるようになりました(笑)」
移住を支えた、とても頼れる人たち
阿部さんは最初、新潟市への移住を考えますが、新潟市では地方移住の感覚が持ちにくいと思っていたところ、Web上で三条市の移住コンシェルジュも務める会社「きら星」を見つけ、三条への移住を決断します。そこには「新潟が好きだ」という、ぶれない感覚がありました。
そして三条市のオーダーメイド移住体験を利用して、移住の準備を進めることにしました。1回目の利用では空き家バンクの内覧と民間賃貸仲介会社での内見とまち巡り。2回目で就職面接を行い、3回目は引っ越しの荷受け作業と日用品の買い出しを行いました。
「三条市での暮らしを体験してみるという本来の趣旨とは違う目的だったのかもしれませんが、移住コンシェルジュの人たちはほんとうに親身になってスケジュールを組んでくれました。対応もすごく親切で新幹線の駅での出迎えはもちろん、いろいろな予定に間に合うよう送迎もしてくれました。移住してきた日も不動産屋での手続き後、自宅まで送ってくれたんです。それに、地元の企業情報も豊富で、とても心強かったです。知人がいないまちで、頼れる人たちがいるというのは、心の支えになっています」
阿部さんは三条市の制度も活用しています。最大3年の家賃補助と、移住支援金を現在申請中です。
「きら星さんに、三条ならではの仕事をしたいと伝えたところ、3社の面接を設定していただきました。最終的に、テキパキとした印象の方が多く、女性の役職者がいて、待遇もよかった企業に決めました。古い歴史を持つメーカーなのですが、新しく変わっていこうという空気を感じます。企業向けの製品なんですが、そういう製品が人知れず世の中を支えているんだと、カッコよさを実感しているところです」
惹かれることには、意味がある
阿部さんが東京で暮らしていたときはリモートがメインの仕事だったこともあり、生活のリズムがバラバラでした。しかし移住後は決まった時間に仕事が終わり、規則正しい生活を送れるように。現在は健康的な早寝早起きの生活をしています。休日にはまちの地理を覚えることも兼ねて散歩を楽しんでいます。そんな阿部さんに、三条市の魅力をうかがいました。
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「まず、ごはんが美味しいですね。家賃や、スーパーなどの物価も安いと思います。広い家に住むことや自動車を持つことが、普通の暮らしとしてできるのではないでしょうか。下田エリアなど自然も身近にあるし、東京との行き来もしやすくて、友人も気軽に遊びに来てくれます。自然とまちの距離感はもちろん、人間関係の距離感も、遠すぎず近すぎず、ちょうどいい感じがしています」
移住後の阿部さんには、三条でやってみたいことがあります。
「東京でも少しやっていたのですが、高齢者施設にいる方々の髪のカットや爪の手入れを行う介護美容に挑戦してみたいと考えています。こちらについても、きら星さんに相談している最中です」
最後に、三条市への移住を考えている人へメッセージをいただきました。
「どのまちにも合う、合わないはあるものだと思います。少しでも惹かれるなら、そこには意味があると思うんです。だから、気になったらいったん来てみよう! 思いきって来たほうがいいですよ! と言いたいですね」
自分はどんな生き方をしたいのか、阿部さんの場合、それを考えたときに移住という選択肢がありました。旅行で来県するたびにあった親切な人との出会いを通して、地域への愛情を育み、いま三条で新しい人生のステージを歩み始めたところです。
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そこには、自分の人生を自分でつくるという生き方があります。そして、移住コンシェルジュが、その生き方を応援し、支えています。自分で納得できるかたちで、豊かな時間を、好きな場所で過ごすこと。それを実現できる場所と、方法が、三条市にはあります。阿部さんの言葉を通して、そのことが多くの人に届くことを願っています。