20代移住者の挑戦!三条市で夢を叶えた3人が“未来の後輩”に伝えたいこと
本間:はじめまして! 三条市で移住コンシェルジュをしている、本間翔太です。この町へ移住を検討している方々のサポートをしています。
早速ですが、三条市とお隣の燕市を含めた「燕三条」に、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。金物の町? 洋食器の町? 多くの人は職人のイメージが強いのではないでしょうか。そんな背景もありながら、実は三条市は「日本でいちばん社長の多い町」とも言われているんです。
今日は街を巡り、三条市でチャレンジするために移住した3人にお話を伺いながら、新たな事業や生活を始めることについて、どんな魅力があるのか探っていきたいと思います。
では早速、最初の目的地である絵本の店「omamori」に向かいましょう。最近、新しく三条に移住してきた人のハブにもなっているんですよ。
気がつけば、地域の魅力を伝える側になっていた
本間:見えてきましたね! 今日はあいにくの天気ですが、遠くからもよく見える黄色いフレームと大きな窓が「omamori」の目印です。
本間:「omamori」は絵本屋でありながらカフェでもあって、移住者のみなさんがよく集まってるんです。僕らコンシェルジュもよく遊びに来ますし、新しく三条に来られた方にまず勧めたいお店です。ここの店主、まるのさきさんは、2022年に東京から移住して以来、三条市の地域おこし協力隊として活動しています。
まるの:ご紹介ありがとうございます。よろしくお願いします!
本間:「omamori」について、どんなお店なのか簡単に説明をしてもらってもいいですか?
まるの:うちは絵本をメインに、コミックや詩集、画集、エッセイなど、「絵の多い本」を広く扱っているお店です。絵本と聞くと子ども向けの印象が強いと思いますが、大人の方にとってもご自身の「お守り」になるような作品もたくさんそろえています。
本間:絵本をパラパラめくりながらコーヒーを飲んで、おしゃべりするお客さんもいるよね。
まるの:たしかに、カフェ利用の方もたくさんいらっしゃいます! 本を買ったり読むだけではなくて、皆さんがそれぞれ、自分にあった心地よい過ごし方を見つけてもらえたらうれしいですね。小さな子がにぎやかに遊んでいる一方で、静かに読書やPC作業をしている方がいたり、ご近所のおじいちゃんがコーヒーを飲んでおしゃべりしていたり……さまざまな人たちが、自然と一緒に時間を過ごせる空間になっているんじゃないかと思っています。
本間:今となっては地域のハブみたいな場所になってますよね。もともとそういうスペースをつくろうと思っていたの?
まるのさん:いや、そんなこと全くなくて(笑)。人見知りだし、リーダーシップもないし、イベントの企画なんかも苦手なんです。でも私が紹介せずとも、お客さん同士気づいたら仲良くなっていて。最近では、約束しなくても自然とこの場所で再会するなんてことも。自分も移住したばかりだと思っていたけど、気づいたら、自分が移住を考えている人に町の魅力を伝える側になっていました。
本間:まるのさん自身、どうして三条市を選んだの?
まるの:実はもともと、東京で働きながら土日だけ絵本屋を開きたいと思っていたんです。それであれこれ悩んでいるときに、たまたまInstagramで「三条市が町を活性化するために新しく本屋を開く人を募集している」という投稿を見かけたんです。本屋って斜陽産業じゃないですか。それでも支援してくれる町があることに感動して、翌月には実際に足を運んでいました(笑)。来てみたら、私のように新しい事業のために来た先輩たちもたくさんいるし、人とのつながりもあたたかい。それで東京に戻ってすぐ会社に相談して、半年後くらいに移住したんです。
本間:行動力がすごい! いざお店をやるとなったときはどうしたの?
まるの:当時はまだコンシェルジュさんがいなかったので、三条市の職員さんにサポートしてもらいました。お店をつくる上でわからないことや新生活の不安も、一つひとつ教えてくれて。最初は車もなかったので、移動のときまで助けてもらってましたね。
本間:市の職員さんに!? そういう距離の近さも三条市ならではかもしれないね。移住から2年、お店をはじめて1年半。だいぶ慣れてきたと思うのだけど、なにか今後の展望はありますか?
まるの:2つあって、ひとつは大好きなこの店を今みたいにおだやかでやさしい場所として守り続けていくこと。そのためにも「omamori」を三条で営みながら、県外や国外での出店で認知度を上げ、omamori の価値をより多くのお客さんに届けられるようになりたいです。
もうひとつは……実は私、自分で ZINEやアート作品を制作・販売することもあって。その領域をもっと広げてみたいと思っています。とくに、ZINEは「実は自分も作ってみたいけど上手くできなくて……」という相談を受けることも多いので、もっとたくさんの方に手に取っていただいて、自分の経験や 「omamori」という場所を使って、そういう方々を応援できる仕組みをつくりたいです。一緒に作品をつくる仲間がいると、心強いし楽しいですよね。
本間:知らなかった、そんな展望があったんだ! そしてちょっと意外かも。
まるの:そうなんです!人とのつながりも、物理的な活動範囲も、自分自身の内面も、こっちに来てからどんどん広がっている気がします。
本間:移住してそんなふうに変わったという話を聞けて、僕までうれしくなりました。
本間・まるの:ありがとうございました。
移住から2か月後に開店。食を通して僕が三条市にできること
本間:次に向かうのは「TREE」という、一ノ木戸商店街にある大きな古民家をリノベーションした複合施設です。中にはグランピングレストランやこれから尋ねるタコス屋さん、また最後に伺う古着屋「gypso」やコワーキングスペースなども入っているんです。
本間:今から話を聞くのは、この場所で2024年の11月にタコス屋「サルーサルー」をオープンした地域おこし協力隊の寺田さん。9月に移住して、たった2か月でお店をつくったんです。
寺田:TREEのレストランを間借りして「サルーサルー」を運営している寺田です!よろしくお願いします。
本間:オープンしてからお店の調子はどうですか?
寺田:9月に移住して、10月にプレオープン、そして11月にオープンしているので、目まぐるしい日々を送っていますね。どこで知ってくれたのか、新潟県中からお客さんが来てくれてうれしいです。
本間:新しいお店ができることが少ないし、きっとタコス屋というめずらしさもあるんだろうね。
寺田:そうですね。僕はイベント出店で三条市以外にも顔を出すことが多いのですが、行く先々で「ああ、君があのタコス屋の!」って声をかけてもらえます(笑)。三条は飲食店同士のつながりが濃いんですよね。
本間:できたばかりとは思えないほどの知名度! そもそもなんでタコスにしたの?
寺田:正直イタリアンでもパンでも、お菓子でもなんでもよかったんです。もともと僕がしたかったのは、お店を通して「食というものづくりに体験の付加価値をつける」ということ。たとえばタコスであれば、ただ「おいしい」だけでなく、あまりなじみのない他国の文化を知る体験ができますよね。
実は、7月まではオーストラリアの1食8万円くらいするレストランで働いていました。そこで一生に一度の体験を味わいに来る人たちの顔を見て、それで自分が独立するときには、たとえ小さくても食に付加価値をつけて提供できるお店をやりたいと思ったんです。自分の持っている「食」という技術にどんな付加価値を組み合わせたらいいだろうって考えて、最初に浮かんだのがタコスでした。
本間:かなり直感的! というか、7月までオーストラリアにいたことに改めて驚いています。向こうにいるときから三条市に来ることは決まっていたんだっけ?
寺田:いや、もともと同じ場所にあまり留まる人間ではないので、日本に戻ってきてすぐ次どこ行こう、って考えていました。そんなときに、たまたま三条市のnoteやまるのさん(omamori)の記事を見つけて。それで8月に見学しに来て、9月頭には地域おこし協力隊として移住しました。
決め手になったのは町の風通しの良さとか、TREEオーナーの中川さんと話せたこととか。最後は直感でしたね。悩んでいても時間がもったいないだけじゃないですか。
本間:相変わらず生き急いでるね(笑)。そのとき、中川さんとはどんな話を?
寺田:2日目の見学のときに履歴書を渡して、ここでお店を出してみたいと伝えました。そしたらその場で「いいんじゃない?」って(笑)。その日の午後には不動産に行って家を契約してきました。中川さんには今でもお店の経営のこととか、三条市での暮らしのこととか、ほぼ毎日アドバイスをもらっています。
本間:中川さんも23歳で起業しているし、波長があったのかもしれないね! まだ開業したばかりだとは思うんだけど、今後三条市で新しく挑戦してみたいことってある?
寺田:まだ来たばかりなので、まずはこの町をもっと知って、もっと好きになりたいです。それができたら、僕と同世代くらい、20代前半の人たちを集めてものづくりや仕事をいっしょにするチームで動きたい。今は一人だけど、三条市にいるうちにどんどん人を集めたいですね。
本間:まるのさんと近いことを言ってる! ところで寺田くんは転々と拠点を変える生き方だと思うけど、その土地への未練みたいなものってあるの?
寺田:未練はなくて。どの場所に行っても、住めばそこがホームになるじゃないですか。自分が歳を重ねたときに、いつでも友だちに会える拠点がたくさんあるという認識ですね。
本間:なるほどね。一度住めばずっとそこが拠点になるんだね。なんだか移住を決める上でヒントになりそうな考え方だ。今日はどうもありがとう!
寺田:こちらこそです! 今度また、僕のタコスも食べにきてください。
古着屋の後輩から先輩に。新しいチャレンジを支える三条市
本間:最後は、同じTREEの屋根裏に2年前にオープンした古着屋「gypso」の菅野加奈さんですね。不思議な入り口なんですが、このディスプレイの奥にある階段をあがるとお店が……。
菅野:翔太さん!よろしくお願いします!
本間:おお、びっくりした。こちらこそよろしくお願いします! さっそく話を聞いちゃうんですが、まずはこのお店について教えてもらいたいです。
菅野:「gypso」は、古着を着たことのない人でも楽しんでもらえるように、ジャンル問わずいろいろな古着やアクセサリー、あとはアンティークの小物なんかを取り扱っているお店です!
本間:菅野さんはもともとTREEのアルバイトだったんだよね。
菅野:そうそう。長岡に住みながら介護福祉士として働いているときに、この場所の存在を知りました。しばらくは介護福祉士とTREEの二足のわらじでした。
本間:そこから古着屋を開業しようとなったのはどうして?
菅野:25歳になるときに、何か新しいことがしたいなって思ったんですよね。正直なにをやってもよかったんですけど、自分のやりたいことリストのひとつに古着屋があったんです。
本間:寺田くんといい、三条市に飛び込んでくるプレイヤーは直感的に行動する人が多いですね(笑)
菅野:やってみて違ったら次!っていう考え方の人が多いんでしょうね。三条市はTREEをはじめ、チャレンジショップとして気軽に挑戦させてくれる場所も多いし、失敗しても次につながっていい経験になりますから。私自身、三条市で新しいことを始めることにそこまで迷いはなかったです。
本間:思いついてからは、かなりのスピードで進んでたような。
菅野:自分の中でオープン日を決めて、そこに合わせて急ピッチで開店しました。でも、古着屋での勤務経験がないので、最初はわからないことだらけでしたね。
本間:TREEも古着の専門的なことはサポートできないと思うけど、そこはどうやって乗り越えたの?
菅野:この商店街には古着屋が4つあるんですよ。新しく古着屋をつくるってなったらみんなすごく優しくしてくれて。教えてもらいながらなんとかやってきました。今でもわからない服が手に入ると聞いてます。「これ何?」って(笑)。
本間:ときには厳しいことも言う人たちだけど、最終的には絶対に助けようとしてくれるよね。三条市はそういう横のつながりはたくさんあるかも。
菅野:そうですね。つながりでいうと、実は最近ふらっと訪ねてくれたお客さんが「自分も古着屋をやりたい」って相談してくれたことがあって。私自身もみんなにたくさん助けられてきたから、連絡先を交換して相談に乗っていたら、この間無事に開店したらしいんです。これまでの経験が役に立ったようで本当にうれしかったですね。
本間:菅野さんも相談する側からされる側になったんだね。お店も安定してきた今、思い描いている展望とかってある?
菅野:翔太さんはよく知っているけど、TREEで働くようになってから、この場所が心の拠り所になった。だから、こういう場所を自分でもつくりたいと思っているんです。今はコンシェルジュのみんなにも相談しながら物件を探しています。
本間:やっぱりみんな、コミュニティをつくりたくなるのかな。新しい人をサポートする場所というか。
菅野:やっぱりその気持ちは強いですね。新しいことを始めるとなったら先輩たちが全力でサポートしてくれるので、意外となんとかなります。というか、私も一緒になってなんとかします(笑)。
本間:なんて頼もしいんだ。今日3人に話を聞いて気づいたんだけど、みんな最初はそれぞれの好きなことを仕事にしたくて三条に来ていたけど、いつの間にか「人をつなげる」「仲間を増やす」という方向性にシフトしようとしているんだよね。
菅野:え、ほかの二人もそうなんですね! うれしい共通点!
本間:そうそう。最近、移住者が移住者を呼ぶってカルチャーが生まれてきている感覚があって。今はまだ三条市やコンシェルジュの発信も大きいけど、きっと「三条に行けば新しいことができる」ということが日本中に知ってもらえたら、僕らが何もしなくても勝手に人が集まってくるのかもしれないね。みんなの話を聞いて、その連鎖が始まっていることを肌で感じる一日でした。菅野さんも、今日はありがとう!
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やってみたいことがあり、地域課題の解決に向けてチャレンジしたい方はぜひ地域おこし協力隊に。3人のように地域の資源やネットワーク、地域おこし協力隊の起業支援補助金を使いながら自分の挑戦をカタチにすることができます。ほかにも、三条市に移住就職して副業やボランティアでやりたいことがある方も大歓迎!
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