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「最高の果物のおいしさ」を伝えたい。情熱を注ぎ挑戦するカネギフルーツ5代目

艶やかな完熟マンゴー、宝石のようなシャインマスカット、芳醇な香りを放つマスクメロン――三条市一ノ木戸商店街に構える「カネギフルーツ」の店内には、季節の最高級フルーツが色とりどりに並んでいます。

1903年の創業以来、地域に根づいてきたこの果物専門店を営むのは、現在5代目店主の信賀康宏さん(40)。新潟県内のフルーツサンドブームの火付け役でもあり、日々新たな挑戦をする姿が注目を集めています。

信賀さんは生まれも育ちも三条市ですが、一度地元を離れたUターン経験者。このまちでどんな思いを持って店を営んでいるのでしょうか。お話を伺いました。

5代目店主の信賀康宏さん

流通から販売まで「果物屋の基礎」を学ぶ

長男の信賀さんは、いずれは店を継ぐことを漠然と意識しながら育ちました。工業高校を卒業後は地元の製造業に就職し、ファンヒーター製造の現場で5年ほどの時を過ごします。

転機は22歳のとき。父から「修行してこい」と勧められ、東京の老舗果物店・千疋屋にて働くことに。贈答用部門での接客、商品の詰め合わせ、値付けなど、果物店としての基礎を徹底的に学びました。「今の仕事の土台は、ほぼすべて千疋屋にあります」と信賀さん。東京駅や百貨店、原宿など様々な店舗を経験し、副店長クラスまで務めました。

しかし、会社の上司との意見の相違から3年目で退職。その後は流通の現場を知るため新潟市の中央卸売市場、駅構内の八百屋など、さまざまな経験を重ねました。そして父の他界を機に、家業を継ぐ決意を固めたのです。

SNSで話題に!豪快なフルーツサンドが大ヒット

現在、カネギフルーツは店舗販売と病院・レストラン・学校向けの卸売、そして2023年10月に新潟市秋葉区にオープンしたフルーツパーラーの3つの部門で事業を展開しています。

店の看板商品として注目を集めているのが、フルーツサンドです。千疋屋時代から「もっと美味しいフルーツサンドを作りたい」という思いを温めていた信賀さんは、新潟県内ではまだ数軒しか扱っていなかった頃に、自身の理想とする「果物を豪快に挟んだフルーツサンド」の開発に挑戦しました。

ファンが多いカネギフルーツのフルーツサンド。その秘密は、素材選びにあります。北海道産生クリームを3種類ブレンドした特製クリーム、地元パン屋の焼きたてパン、そして厳選された最上級の果物を使用しているのです。

シャインマスカットのフルーツサンド

定番の「4種ミックス(バナナ、イチゴ、キウイ、パイナップル)」に加え、春はいちご、夏はマンゴー、秋はブドウ、冬はル・レクチェなど、その時季ならではの果物を使ったメニューも人気です。

信賀さんがフルーツサンドの販売を始めたのは7年前。SNSでの口コミがきっかけで評判は一気に広がり、ピーク時には1日600個という驚異的な売り上げを記録しました。メディアにも多数取り上げられるようになり、店の認知度が高まるにつれ、「うちの果物も使ってほしい」という農家からの問い合わせが相次ぐように。より多くの生産者とのつながりが生まれ、仕入れのネットワークも広がっていきました。

店頭にはいろとりどりのフルーツサンドが並ぶ

三条の経営者たちは「挑戦を応援し合う」気質がある

三条という土地で果物店を営むことは、信賀さんにとって大きな意味を持ちます。

「三条で栽培される果物はレベルが高いです。イチゴ、モモ、ル・レクチェ、ブドウなど、旬の果物を最高の状態で仕入れることができます」

また、三条ならではの良さは、それだけではありません。工業のまちとして培われた経営者同士のつながりは、新しい挑戦を支える力となっています。Uターン経験者の信賀さんもまた商工会議所や青年部などでの活動を通じて、幅広く人とのつながりが生まれたといいます。

「新しいことを始めようとしたとき、経験豊富な方々が背中を押してくれます。三条は社長だらけのまちですからね。みんなが応援してくれるんですよ」

世代をつなぐ架け橋となり、商店街に活気を取り戻す


いま三条の商店街では、若い世代の活躍が注目を集めています。特にカネギフルーツがある一ノ木戸商店街では、コスプレイベントやDIYスタンプラリー、県外でのイベント出展など、若手による新しい取り組みが次々と実現しています。
当初、70~80代のベテラン店主たちは戸惑いを見せていましたが、40代の信賀さんが橋渡し役となり、世代間の対話が生まれていきました。「若い世代の発想力と行動力、そしてSNSでの情報発信力には目を見張るものがあります」と信賀さん。いまでは若手の活動は商店街の大きな強みとして認められています。

商店街にあるカネギフルーツの店舗

めざすは地域No.1!最高品質にこだわり続けたい


信賀さんは、果物店としての揺るぎない目標を持っています。最高級フルーツをそろえるお店としてさらに知名度を上げ、たくさんの人にその美味しさを知ってもらうこと。そして「果物と言えばカネギフルーツ」とすぐに頭に浮かぶような存在になることです。
「うちは最高級の果物しか置かないようにしているんです。芳醇な香りの完熟マンゴー、蜜のような甘さのハニーグローパイン、1粒2000円を超える寒熟いちごなど、県内でもここでしか出会えない果物ばかりです。一度食べたら、美味しさに驚くはずですよ」
「新潟の果物屋のナンバーワンになる」。その夢に向かって着実に歩を進める信賀さんは、お客さまに足を運んで良かったと思ってもらえる店づくりに全力を注いでいます。フルーツサンドに続く新たな挑戦も準備中とのこと。伝統ある果物店のこれからの展開に目が離せません。

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