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金属アレルギーでも身につけられるチタンアクセサリーを。道なき道をゆく、小さな工場の挑戦|レジエ株式会社

こんにちは。三条市ふるさと納税担当です。
当記事では、ふるさと納税の返礼品を提供いただいている市内企業を紹介します。


「身につけると、かぶれてしまうから」

そう言ってアクセサリーを諦めてしまった人がどのくらいいるだろうか。

アクセサリーは見た目を華やかにするだけでなく、自分の気持ちすら前向きにさせてくれるもの。しかし、金属アレルギーの人は、アクセサリーを身につけるとかぶれたり、腫れたりと皮膚に異常をきたす。

そんな悩みを解決できるのが、レジエ株式会社(以下、レジエ)のアクセサリーだ。チタンを鋳造してつくられたアクセサリーは、金属アレルギーでも身につけられると近年、注目を集めている。

加工が難しいとされるチタンを使って、細かな造形を生み出すことに成功したレジエ。しかし、その道のりは長く険しいものだった。

無謀といわれたチタンのアクセサリー作りに挑んだレジエの軌跡を辿る。

金属アレルギーの人でも安心。チタンを使ったアクセサリーブランド「レジエ」

レジエのチタンアクセサリーの画像

1998年に日本初の精密鋳造チタンアクセサリーとして立ち上げた自社ブランド「レジエ」。ネックレスやピアス、リングなど幅広い商品を取り扱っており、その数は100種類を超える。

チタンは、アクセサリーとしてよく使われる金やプラチナよりも1/4ほど比重が軽い一方で、ステンレスや鉄の約3倍の強度を誇る。その上、寒い冬の日にアクセサリーを手に取っても冷たさを感じにくいことから、常にアクセサリーを身につけていたい人にとって強い味方になる商品だ。

工場に隣接されている店舗
工場に隣接されている店舗(提供:レジエ株式会社)

現在は、工場に隣接している店舗のほか、オンラインショップや提携店舗で販売。県内に限らず、全国の金属アレルギーを持つ人が購入している。

その成功の裏には、サラリーマンから転向した社長の決断と、チタンアクセサリー開発に費やした強い想いがあった。

50歳を過ぎての独立。自分の心に従い、挑戦する人生を選択

レジエ代表取締役の浅野良二郎さん

長年、ステンレスの加工業に携わっていた代表取締役の浅野良二郎さん(以下、浅野さん)。鉄の鋳物(いもの)を生業としていた父親から「これからは錆びない鋳物をやりなさい」と言われ、ステンレス加工の道へと進んだ。

ステンレスの加工会社に入社し、サラリーマンとして生活。年を重ねるにつれて役職も付き、給料も上がる不自由のない生活を送っていた。しかし、役職が上がるにつれ、「自分の人生はこのままでいいのか?」と疑問を抱くようになった。

「専務、常務と、役職が付けばその分給料は上がります。けれど、退職してしまえばなんの意味も持たなくなる。サラリーマンには、そのあとに残るものがなにも無いように感じてしまったんですよね」

“このままサラリーマンとして暮らし、退職後は何も残らない人生”と、”小さなことでいいから人が出来ないことに挑戦する人生”、どちらがいいかと考えると、自ずと答えは見つかった。

そして、会社をすっぱりと辞め、独立を決意。50歳を過ぎての決断だった。

チタンで事業を興す。何も分からないまま走り始めた創業期

勢いよく会社を退職したものの、何をやるかは決めていなかった浅野さん。そこで、日本各地に足を運び、さまざまな加工業を見て回ることにした。その途中、種子島宇宙センターで「チタン」と出会い、「これからはチタンが注目される」と確信。チタンで事業を興すことを心に決めたのだ。

しかし、国内でもチタンを扱う企業は少なく、製造するものと言えば、メガネやゴルフクラブが一般的。そこで、浅野さんは情報収集とチタンの加工技術を学ぶため、メガネパーツの生産が盛んな福井県鯖江市に訪れた。

ところが、当時の鯖江市は企業と行政が連携し、地域の産業をオールチタン化するために力を入れていたとき。新潟から来た縁もゆかりもない浅野さんが技術を教えてもらえる余地はなかった。

それでも、チタンで何かできないかと模索。突き詰めて考えていった結果、チタンを加工する溶鉱炉が必要なことに気がついた。

「チタンの溶解炉を作るには相当な技術が必要。知人にうち専用の溶解炉を作ってくれとお願いしたんですが、難しいからと断られてしまって。でも、そこをなんとかと口説き落として作ってもらえることになりました」

仕事の受注体制を整え、世界最小のチタン溶鉱炉を作り、ようやく準備ができたレジエ。しかし、まだまだチタンの知識が足りない状態だった。そこで、何とか知識を得ようと時間ができるたびに鯖江市へ。地域の人との信頼関係を育みながら、少しずつ情報を分けてもらえるようになった。メガネ製造の仕事を受託するうちにチタンは金属アレルギーの人でもつけられることに気づき、アクセサリー事業に可能性を見出した。

困難なチタンの加工と向き合い続けて得た技術

「チタンの加工は難しい」

ものづくり事業者は皆、そう口を揃える。加工や研磨のノウハウがなく、また金属が性質的にデリケートであるためだ。

「当社の高い検査基準に照らし合わせると、半分以上が不良品になってしまいます」と浅野さんは口を開く。

製造した半分以上が不良品。一瞬聞き間違いかと思うような不良率の高さだが、それほどこのチタンという金属は歩留まりが悪い。小さなタイミングのズレ、ほんの少しのアラ、それらすべてが製品の“傷”となってしまうのだ。

原材料のチタン
原材料のチタン。これを溶解する。

複数ある工程のなかでも、一瞬も気を緩めることができない作業がチタンの融解だ。チタンの融点は1600℃と金属の中でもかなり高く、空気中の酸素と結合して酸化しやすい。そうなってしまったチタンは、脆く丈夫さがなくなってしまうため、使い物にならなくなってしまう。だからこそ、溶かす前に酸素と結合しないように溶鉱炉の中を真空にする必要があるのだ。

チタンを溶解したもの
チタンを溶解したもの

鋳造だけでない。傷つきやすいチタンにとって研磨もまた難しい加工だ。

「ものづくりの街として知られる燕三条ですら、チタンの鋳造品でしか造形できない複雑形状を、美しく研磨できる工場は他には無いかもしれません」

浅野さんが長年携わったステンレスとも金属特性が違う上、アクセサリーに使われる他の金属とも勝手が違う。

それでも、諦めずにチタンに向き合い続けた、浅野さん。
今のレジエの商品には、「絶対形にする」という浅野さんの想いと培ってきた経験の結晶が詰まっているのだ。

金属アレルギーのためのアクセサリーから、だれでも身につけられるアクセサリーへ

新型コロナウイルス感染症が拡がる前は、展示会や催事など直販での売り上げを大切にしてきたレジエ。しかし、2020年以降、世界はガラッと変わってしまった。

その変化が結果的には良いきっかけになったと常務の良裕さんが口を開く。

常務の良裕さん。
常務の良裕さん。レジエの次の時代を担う。

「チタンのアクセサリーって、パッと見ただけでは良さや凄さが伝わりにくいんです。だから、直接顔を見て製品のポイントや、チタンの金属の特徴を伝えてきました。それが、一気に展示会も催事もなくなってしまって。最初は途方に暮れましたが、これを良い機会と捉えて、今まで出来ていなかったことに着手しました。」

コロナ禍で会社にいる時間が増えた良裕さん。まず取り組んだのは、社内作業の効率化だった。指揮系統を明確にしたり、内部資料にかけていた時間を短縮したり、年度ごとに会社としての目標を定めたりと、今まで時間がなく出来ていなかったことに着手した。

そして、もうひとつ取り組んだのが、新ブランド「__22(ニニ)」の立ち上げ。「身体拡張するアクセサリー」をコンセプトに、着ける人を選ばないブランドとして2022年4月1日にオンラインストアを開設。洗練されたコンセプトとデザインだが、良裕さんにとってはブランド立ち上げ自体が初めてで、戸惑うことも多かったという。

「2021年の頭くらいから構想を練り始めていったのですが、当初は方向性すら定まっていなかったんです。それを外部のパートナー企業が、ブランドの想いやレジエの目指す方向性などを丁寧に聞き出してくれて。そうしたら、金属アレルギーの人だけでなく、アレルギーの疑いがある人からアレルギーを持っていない人まで、男女問わずどんな人にも身につけてほしいという想いに気づいたんです。そこから、ユニセックスとして使えるように作り込んでいきました」

「__22」のイメージカット(提供:レジエ株式会社)
「__22」のイメージカット(提供:レジエ株式会社)

良裕さんにとってブランド立ち上げ自体初めてだったため、ブランドの考え方から撮影やモデルのアテンドまで、全部が勉強になることばかり。パートナー企業とともに二人三脚で歩みながら、2022年2月2日に無事に新ブランドを解禁した。

「新しいブランドを通して、チタン鋳造の可能性も見出していければと思っているんです。チタンだから変色にしにくいし、丈夫で軽い。しかも、鋳造だからこそ複雑な造形もできる。金属アレルギーの人以外にもメリットはたくさんあるんです。そうしたことを従来のレジエや『__22』を通して伝えていければと思っています」

チタン鋳造の可能性はまだまだ広がっている。その可能性を追求し、多くの人に届けるため、2020年4月から一般社団法人 金属アレルギー協会に所属し、SNSでは金属アレルギーに関するマンガを発信している。

「チタンの魅力を、丁寧に、じっくりと届ける。」

このことに価値があると考えているからこそ、良二郎さんが作り上げた今までのレジエがあり、良裕さんが新たな挑戦に取り組むレジエがある。レジエの商品には愚直で堅実な浅野さん親子の想いが詰まっているのだ。

レジエ株式会社
〒955-0862 新潟県三条市南新保6‐16
TEL:0256-34-9150
FAX:0256-34-9151

https://www.leger.co.jp/corp/

(編集・写真:株式会社ブライトログ)


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