2年間活動をして感じる本と町おこしのつながり~まちの本屋 SANJO PUBLISHINGの本屋担当が思うこと~
こんにちは。三条市中央商店街にある本屋と喫茶店『SANJO PUBLISHING』の本屋担当をしている、地域おこし協力隊の町田です。
本屋で働く経験も無かった私が、三条市で本屋を始めて2年以上が経過しました。これまで三条市に訪れたこともなければ、前職は新卒で青年海外協力隊としてエチオピアに派遣されていた私にとって、日本で、しかも見知らぬ土地で働くことは、日々新鮮なことだらけでした。そんな私のこれまでを振り返りながら、「本×町おこし」について少し感じたことをお話しできたらと思います。
地域で本屋に挑戦することに向き合う1年目
三条市で本屋を立ち上げる、という募集を見た時、私はとてもわくわくしたのを覚えています。幼少期から絵本を読むことが多く、今でも本を読むことや、本屋に行くことが好きな私ですが、本屋になろうと思ったことはありませんでした。
そんな私が本屋を経営する側になること、そして初めての土地である三条市で働くこと、というのはわくわくすると同時に不安もありました。
三条市に来て感じたのは、どなたも拒絶することはなく受け入れてくれる風土があるということでした。「私なんて関心を持たれない」と思っていても、実際には私の話を興味深く聞いてくださる方が多くいました。
私を温かく迎え入れてくれたこの場所で、何かを成し遂げたいと思うようになりました。
とはいえ、全国的に見て、地方から本屋がどんどん減っているという実態があります。ここ三条市でも、本屋さんは少ないです。冬になれば除雪などで外に出るのも大変なこの地域。またある言説では本離れと言われているように、他のメディアの台頭や物価の高騰もあり、都市部と同じ値段で販売される本が果たして地方でも受け入れられるのか、というのは今後の課題として感じていました。
その中でも、本を通して少しずつ人とつながり始め、決して一人ではないことを実感した1年目だったと思います。
三条市舞台の漫画/アニメによる効果も感じた2年目
2年目になって少しずつ感じてきたのは、「本」や「本屋」が少しずつ三条市のまちに浸透してきた、ということです。本を読む人ももしかしたら減っているのではないかという昨今、「本」に興味を持つ人を、この地域で増やすことの大事さに気付きつつありました。
そんな中、三条市を舞台にしたアニメ『DIY!!~どぅー・いっと・ゆあせるふ~』の放送があったり、燕三条地域がモチーフになっている『クプルムの花嫁』という漫画の人気が広がっていったりと、この地域の人にとって関心のあるコンテンツがタイミングよく現われたのが2年目でした。
アニメの放送と漫画の人気が、どのように本や町おこしに関わるかというのは、前回のnote記事にも少し書いているのそちらもぜひご覧ください。
前回のnote記事↓
「本」という形あるものが持つ価値が、アニメや漫画を通じて現われたという気もしています。また映画や音楽を聞いてその良さに魅了されることがあるように、本の表紙やタイトル、内容の良さを示せれば、この「本」の魅力がもっと伝わるのではと、その月の推し本1冊を決めて推すという取組も行いました。
毎月多種多様な本を取りそろえており、好評いただいています。
本×町おこしとこれから
さてそんな私も、活動任期最終年である3年目の活動期間になってしまいました。まだまだやりたいことも、できていないこともあるのに…とむずむずしておりますが、そのあとも三条市で本屋を続けられるように動き続けていく所存です。
最後に、本×町おこしについてですが、1冊紹介したい本があります。
これは私がこの地域の方に見て欲しいと思って仕入れた、河出書房新社さん出版の『民具のデザイン図鑑』です。
この本には農作業で使うような籠から、食事の際にも使われるようなもの、はたまた三条市でも有名な凧や神社の絵馬、布など、人々の生活の中で使われてきた民具たちが紹介されています。
この本を入荷しようと思ったのも、三条市はものづくりが盛んなことで有名ですし、この本を通じて本屋にそして三条市に興味を持ってくれたらと思ったからです。
本の種類は多岐にわたりますが、この地域で本屋を営むことで、本を通じて三条市に触れ、地域の魅力を地域内外へと発信することができています。
町おこしといいつつ、まずは本や本屋を通じて三条市に触れてもらうこと、そこから魅力的なモノにあふれている三条市に、まちの本屋がハブとなって導線をつなげていくことができたらと思っております。
そんな奮闘の様子は「SANJO PUBLISHING」のInstagramやTwitterにて垣間見ることができます。最近はオンラインイベントも行っておりますので、気になる方はぜひフォローしていただけると有り難いです!