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考え方をリノベーションする ~小さなアクションから大きなまちを動かす

こんにちは
三条市で空き家相談員として空き家の課題解決に取り組んでいる、地域おこし協力隊の佐藤芳和です。普段は空き家相談員として市内を奔走するかたわら、空き家対策・移住推進で地域の活性化を行う「一般社団法人 燕三条空き家活用プロジェクト(以下「空活燕三条」)」の事業にも携わり、活動しています。
今回の記事では、11月に新潟市の古町で行われたリノベーションスクール新潟(以下「リノスク」)についてご紹介したいと思います。三条の空き家対策はここ3年間で大きく前進し、空き家バンクの登録数も増え、物件の成約数も少しずつ増えてきました。個々人の顔が見える新規出店も増え、まちなかの風景も少しずつ変わってきましたが、この流れをより加速するためのヒントを、リノスクで学べるのではないかと考え、参加してきました。

リノスク初日

リノベーションスクールとは

リノスクとは、対象地域に実在する規模やエリアが異なる遊休不動産を対象とし、3日間集中して地域課題の把握・エリアを再生する事業プラン・コンテンツ(以下「事業」)を創り出す短期集中の実践型スクールです。専門分野・バックグラウンドが異なる受講生が5〜8名程度のユニットを組んで取り組むもので(今回は3ユニット)、各ユニットには参加者をサポートし、伴走するファシリテーターとして、ユニットマスター(※1)とローカルユニットマスター(※2)の2名が配置されます。リノスクでは、テーブルを囲んで議論することもあれば、物件オーナーへヒアリングをしたり、フィールドワーク(地域内の施設や店舗の傾向や人の流れを観察する、歴史を学ぶ、食を味わうなど)を通じて理解を深め、エリアの価値を高めうる事業を検討していきます。
そのエリアならではの事業を創出し、エリアの価値向上及び複合的な地域課題の解決を図る、民間主導の公民連携のまちづくりを「リノベーションまちづくり」と呼び、リノスクはそれを実践・駆動するエンジンです。この取り組みはこれまでに全国101都市・地域で行われており(2023年3月末時点)、新潟市では初めての開催となります。

※1 ユニットマスター:全国それぞれの地域で根を張り活動をしているプロフェッショナル。今回のスクールでは、デザイナー、事業家、建築家が務めた
※2 ローカルユニットマスター:リノスクの舞台となる地域に根を張り活動するスペシャリスト。今回のスクールでは、料理家、編集者、建築家が務めた

まちの価値を上げるために ~まちへダイブし、まちを知る


3日間のリノスクで繰り返し問われるのが、「スモールエリア(※3)はどこか」ということです。この考え方はどの地域でも応用可能な考え方ではないでしょうか。例えば三条のまちなかも、「まちやま」「えんがわ」「歴史民俗産業資料館」「鍛冶道場」などが集まるエリア、繁華街の本寺小路、商店街ゾーン(この括りの中でも一ノ木戸、中央、昭栄通りでそれぞれ性格も異なります)、駅前などキャラの異なるエリアが隣接(または溶け合いながら存在)しており、中心市街地の一言では捉えきれないことがわかります。物件周辺エリアの特性や文脈を読み解き、理解を深めることは、事業を始めるうえで大切なプロセスです。活かせるものは何か、必要なものが何か。それによって想定していた事業に変化が生まれることもあります。その結果、考えたスモールエリアは既存のエリアを横断した別の形になるかもしれません。「あるものは活かし、ないものは作る」という精神の下、考えることでエリアの価値を上げることができるのではないでしょうか。

※3 スモールエリア:まちの資源等が集積している、任意の範囲で定義される小さなエリアのこと。例えば「半径4~500m」「徒歩10分圏内」「この街区からあの街区まで」など、範囲は設定次第で異なる

まちの歴史・過去を知り、未来のあり方をイメージする
まちの現在(いま)を理解するためのフィールドワーク。まちを知る方法に正解はない
必要であれば対象物件で実証実験を行い、まちの変化を観察する

遠くへ行くために、仲間が集えるビジョンを考える

もうひとつ問われたのは「事業プランを通じてどのようなエリアのビジョンを示すのか」ということです。ビジョンはそこに関わる人が考え、行動する上での旗印となるもので、迷った時に立ち返ることのできる存在です。ビジョンを描くことは、まちづくりを進める上で大事なプロセスであり、多くの人が関わるプロジェクトほど重要になってきます。以前ご紹介した前橋市の「マチスタント(※4)」も、最初期は「前橋版リノベーションまちづくり」と呼称しており、その活動の源流には前橋ビジョン「めぶく」(※5)というものがありました。2016年に策定されたこのビジョンに多くの人や企業の共感が集まり、これをキッカケに前橋は大きく動き出したそうです。

※4 マチスタント:前橋のまちなかで何かをやってみたい人と、空き家や空き店舗などのその人に必要なまちの空間資源のマッチングやサポートする前橋市の事業
※5 前橋ビジョン「めぶく」:民間主導のもと、前橋市が策定したまちづくりに関するビジョン。市の特徴を調査・分析して将来像を見据え「前橋市はどのようなまちを目指すのか。」を示したもの

フィールドワークを経て、物件と事業が対象とするスモールエリアはどこか、そして示すべきビジョンが何かを考える

また、リノスクの冒頭でスクールマスターを務めた青木純さんのライブアクト(レクチャー)で印象的な言葉がありました。
「早く行きたいなら一人で行け 遠くに行きたいならみんなで行け」
青木さんのこの言葉には、まちづくりの本質が詰まっているように思います。街という大きなハードが変わるためには、時間もお金も労力もかかります。人口が減っている中、一人一人が孤軍奮闘するだけでは限界があるように思います。共感を呼ぶビジョンのもと仲間を集め、関わる人が一丸となって進めた方が、一人では辿り着くことができない景色をつくり出せ、エリアの価値向上につながると考えます。また、まちづくりではなく新規出店などにもつながる話しと言えます。「こういうことをしたい」「こういうお店にしたい」といった考えやビジョンを周りに共有し、巻き込みながら進めることが事業の持続性を高めるのではないでしょうか。
そして、初対面同士が集ってチームを組み、一つの目標に向けて提案を考える短期集中型のスクールという形式も、共に行う仲間を集めるための仕組みとして大いに参考になりました。

スクールマスターである青木純さんによるライブアクト

このスクールを通じて得たものをこれからの三条の空き家を通じたまちづくりに活かしていければと思います。また、リノスクの最終プレゼン、3日間の様子をまとめた映像も公開されていますので、ぜひともご覧ください。

NEXT21展望ラウンジで行われた最終プレゼン

\毎月第2水曜日、「空き家・移住の日」!/
三条市神明町5-3 三-Me.にて15時から開催しています。
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