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#05 子連れ移住、1番大変だったのはパートナーの説得

前回までは、美里さんの移住のきっかけや、田舎暮らしでの気づき、移住に際したキャリアについてを伺ってきました。今回は、移住を決める際に苦労したことをお伺いしていきます。


ー 前回までは、移住しての生活やキャリアの変化、移住してよかったことを中心に伺ってきましたが、移住に際して苦労したことはありましたか?

1番大変だったのは夫の説得ですね。都会仕様に育てられた夫からすると、地方移住は自分の過去を全否定するくらい、今まで積み上げてきたものをすべて捨てなければならないという感覚だったみたいで。

だから、最後、本当に移住しようとなったときに、「でも、契約に入ってたもんね」と言われました。わたしが結婚するときに、地方移住するのが条件と言っていたらしく(笑)「これで移住しないってなったら、契約と違うってなるから…」と言って、渋々受け入れてくれた部分もありました。

ー 美里さんは、田舎育ちとのことですが、旦那さんは都会育ちなんですね。

そうなんです。夫は埼玉出身で、夫の親は70代のいわゆる「団塊の世代」で。「集団就職でみんなでワーっと東京に就職して、その周辺のベッドタウンで過ごすのが当たり前だった世代の人」と夫が言っていました。それで、お父さんは定年まで会社に勤めて、その退職金で家を建てたそうです。

夫は、「(自分は)資本主義の中でいかに戦っていくかという学歴という武器を備えつけられ、ずっと勉強して働いて…というように、首都圏で戦うべく育て上げられた」ってよく言っていました。

だから、首都圏で戦っていけるように育てられたのに、その首都圏にいないってなると「俺の人生なんだったんだ⁉︎」って、夫はこれまでの36年間を否定しなきゃいけない感覚だったみたいです。なので、移住の話をしても「俺の気持ちわからないでしょ?」とか「これまでやってきたことが全て間違っていたってこと?」と言われて、毎日夫婦喧嘩していましたね(笑)

夫からすると、友達も職場関連の人も、自分のことを知ってる人がいなくなるわけだから、生かしてくれる人もいないし、自分でアピールしなきゃいけない。どんな生き方をするのかわからない地方にこれまでの全てを捨てるような感覚で行く…

その辛さはあるなぁと思いつつ、田舎育ちのわたしからすると「そうじゃないのに…」って思っていました。その人生だったからこそ備わってる能力が絶対にあるはずで、それは地方でも絶対に生かせるはずなんですけど、夫には田舎暮らしの原体験がないわけなので、「未知」の環境に飛び込ませないといけなかったんですよね。

子どもが生まれる前、仕事終わりに都内で飲むふたり

ーそんな風に、移住への抵抗感が強かった旦那さんと、どんな話し合いを重ねたのでしょうか?

大手企業の役職定年の”55歳”になったときの話をしたんですよね。

「大手企業に勤めて役職をもらって、安定した収入でなに不自由ないけれど、毎日隣人のクレームに耐えながら我が家にとって精神的に窮屈な暮らし」と「多少手放さなければならないことはあるかもしれないけれど、家族全員のびのびとした暮らし」だったら、どっちがいいだろう?っていう論点でも考えたんです。

55歳になって、役職を外れて、頼ってくれていた部下もいなくなって、給料減って部下も減って、仕事も減って……ってなった時の方が、「なんのために今まで苦痛に耐えてきたんだろう?」ってなると思ったんですよね。だったらその問題が目の前に来てから動くのはもっと大変だから、今のうちに手を打っておこうよと話しました。

それに、わたしとしては、夫が36年間積み上げてきたものは地方でも必ず活かせると確信していたんですよね。夫は地方暮らしが「未知」だから不安や恐れがあるのは当然で、地方暮らしが「既知」のわたしから見たら、夫は絶対に地方暮らしの方が合っていると思ったので「失敗したら戻ってこよう!」といいつつ、絶対ハマるだろうなと思って半ば無理矢理引っ張ってきたかもしれないです(笑)

ー最終的に、旦那さんはどう納得して、ご家族での移住に踏み切ったのでしょうか?

未来のことや息子たちのことを考えたときに、子どもが”子ども”でいられる時間って今しかないわけで。ずっと自転車に乗らせてあげられなかったように、ここで制限をさせるのか、のびのびさせるのかは一生に関わるよなぁと。

そこで夫は最後に、「自分の保守だったら移住しないけど、子どもの未来のためなら」って思ったみたいです。移住したあとに、「ここから100年を見た時に、子どものことを考えたら移住だった」とも言っていましたね。

移住は「ゴール」ではなくこの先もずっと続く“家族物語”としては「プロセス」なので、“完全合意”は無理だと思って「失敗したらまた都会に戻ってこよう!」くらいの気持ちで、一旦どちらかがエイヤっ!と引っ張るのもありだと思います。

今思えば毎日のように続いた夫婦喧嘩はお互いの理解を深める時間だったと思います。たくさんの喧嘩という名の話合いを重ねた結果、私のエイヤっ!を受け入れてくれた夫は結局、1番の理解者ですね。


今回のお話しで、移住に際したいい側面ばかりではなく、リアルな悩みや難しさもお伺いすることができました。移住を検討している人でも、ご家族での話し合いに難しさを感じている人が多いかもしれません。

また、都会で一生を終えることを想定した生き方をしてきた方や地方で暮らした経験がない方が地方に住む、ということはすごくハードルがあることなのだと感じました。パートナーのどちらかが、移住したら理想の暮らしができる!と思っていても、説得するのは苦労を伴います。

しかし、美里さんご夫婦のように、ご自身のキャリアの先にあるものや、お子さんの視点など、様々な視点でご家族の未来を考えることが大事なのだと思いました。

また、美里さんの旦那さんは、移住体験ツアーに参加したことも移住を決めるきっかけになったそうです。

三条市では移住する際のサポートも充実しているので、そういった自治体や関連団体のサポートを活用して、移住についての解像度をあげたり、不安を解消していくことも大切かもしれません。

(インタビュー・文:内藤千裕

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