よくつくる、よくいきる①~経済ビジョンのその後~
三条市では、昨年度(令和4年度)、三条市経済ビジョン「よくつくる、よくいきる~豊かにいきいきと働き、技術力を基軸に時代とともに進化し続けるものづくりのまち~」を策定しました。
今年度は、ビジョンに基づいて具体的な実行のための素地づくりを進めています。今回は、その全体の概要を皆さんにご紹介します。
次回からは、個別の事業の詳細についてもお伝えする予定です。
経済ビジョンとは
昨年度、三条市の今後の産業振興の方向性を決めていくべく、経済ビジョンを策定しました。
経済ビジョンについては過去2回にわたって詳しくお伝えしていますので、こちらをご覧ください。
この経済ビジョンでは、「“不易流行”のものづくりによる生産性の向上の実現」と「持続的成長のためのウェルビーイングの実現」を戦略のコンセプトに、重点的に取り組む領域として、4つの戦略を定めました。
4つの戦略
それでは、戦略ごとに、今年度上半期に実施した施策や、現在検討を進めている内容についてご紹介します。
戦略1 ものづくり産業の高付加価値化と新事業創出
この戦略では、B to B企業の付加価値向上に重きを置いた施策を実施しています。
令和5年3月には、JRE Local Hub 燕三条内に、県外メーカーと地場企業をつなぐものづくりの総合窓口「燕三条こうばの窓口」がオープンしました。
「燕三条こうばの窓口」は、人や時間が足りず営業活動をできないなどでお困りの会員企業の技術等を情報発信・営業することで、会員企業の新たな案件の受注をサポートしています。
100 以上の工場(こうば)とつながるビジネスマッチングを目的としたサービスで、燕三条地域のものづくりに関連する企業(こうばの窓口会員)が連携し、新商品開発や外注依頼など製造からパッケージまで一貫したサービスを提供しています。
なお、市では、小規模企業者の技術の発信力・営業力の強化のため、「燕三条こうばの窓口」への加入を支援しています。
詳しくはこちらをご覧ください
また、脱炭素分野では、市内企業を中心にプロジェクトチーム(PT)を設置するとともに、三条商工会議所と三条市共催で市内企業向けに、脱炭素社会とどう向き合うかをテーマにして、脱炭素セミナーを開催しました。
追記:この戦略について、もう少し詳しい記事を書きました
戦略2 生産性向上の推進
この戦略では、主に企業のDX化の推進の取組を進めてきました。
中小企業を対象に生産性向上セミナーや個別ワークショップを開催し、「経営の可視化」とはどのようなもので、企業経営にどのような効果があるのかを実際に体験していただきました。
また、SaaS(デジタルツール)導入支援も進めています。専門家が各社の課題に合わせて最適なデジタルツールを選定し、その試験導入・効果検証をするものです。
規模の小さい企業では、自社の人員だけで最適なデジタルツールを見つけることすら難しいという声をお聞きします。そのような企業のデジタル化への第一歩のお手伝いをしています。
過去に取り組んだ企業にインタビューをしました。
戦略3 産業基盤の安定化、強靭化
この戦略では、企業の事業承継支援に重点を置き、支援策を検討するため、三条商工会議所や専門家などで事業承継PTを組織しました。PTでは主に次年度の施策について検討を進めています。
あわせて、市内の製造業・卸売業の企業を対象に、事業承継実態調査を実施しました。結果は、現在集計中で、今後個社が特定されない形での公表を予定しています。
今回の調査では、任意で企業名を記入していただきました。下半期はそれらの企業に対して個別訪問やヒアリングを進めています。
追記:この戦略について、もう少し詳しい記事を書きました
戦略4 未来志向の人材戦略(人材の確保・育成)
3月に「三条市ではたらく人の幸せ/不幸せ診断」を実施しました。
結果は、必ずしも市内企業の労働環境が充実しているとは言えず、経済ビジョンで謳っているウェルビーイングが図られている方が多くはないという結果が見えました。
多くの企業で人材の確保が難しいと叫ばれている中、労働者が企業を選ぶ基準とはその企業の福利厚生や施設などのいわゆる「労働環境」だと考えています。
そのため、現在、労働環境改善・働きがい向上モデル企業創出事業を実施しています。
本事業は、市内企業の人材確保を後押しするため、多くの市内企業の参考になるモデル企業の創出に向けて、労働環境整備や魅力ある組織づくりに取り組む意欲ある市内企業に専門家派遣によるコンサルティング支援するもので、現在5社に対して支援しています。
おわりに
以上、4つの戦略に基づく今年度の取組の概要を紹介しました。次回からは、個別の事業について具体的にご紹介していきます。
「よくいきる、よくつくる」のビジョンの下、三条市と産業界が一体となって選びたくなるまち三条を実現できるよう、進んで行きたいと考えています。